西村京太郎490「急行アルプス殺人事件」を読む

2011年出版の作品。
もっとも収録されている作品は結構古い。
「あずさ3号殺人事件」「急行アルプス殺人事件」
「幻想と死の信越本線」「内房線で出会った女―さざなみ7号」の4編。

「あずさ3号殺人事件」は1981年11月号「小説現代」発表。
1983年に土曜ワイド劇場で映像化。

ザ・時刻表トリックという感じの作品。結構好き。
前半は十津川&亀井は登場せず。ヒロインと長野県警の小野刑事で話が進む。

映像化作品では大場久美子、村野武範、尾藤イサオらが出演。
ほとんど原作通りだが、被害者と犯人が違う会社だったり
協力者をめぐる関係や写真などが少し異なる。

コメットさん大活躍というか結構目立つ2時間サスペンス。

「急行アルプス殺人事件」は1992年5月号「小説現代」発表。

南小谷発、新宿行きの急行「アルプス」が走っているとき、
並行して走る国道で乗用車が炎上しているのを運転士が発見。

運転士と車掌、そして乗り合わせていた捜査一課の坂口刑事(誰やねん)が
運転席の女性を救出。しかし、病院に搬送された女性は死亡。
ところが運転士、さらに車掌も殺される事態となり、次第に事件の匂いが――。

「幻想と死の信越本線」は1990年12月号「小説すばる」。

旅行作家のあるエッセイを読んだ女性が、十津川警部の自宅にやってきた。
そこに書かれているのは姉のことで、11年前に小諸で殺された事件を調べてくれというのだ。

ところが肝心の旅行作家はそれはフィクションだという。
だが、作家が長野行きの特急の中で毒殺され、やはり本当の話では、となる。
十津川が探り当てた真実は――こういうラストのほろ苦さは結構好き。

「内房線で出会った女」は1983年12月号「小説宝石」。
十津川警部も亀井刑事も出てこない。
典型的な巻き込まれ型の話で、友の無実を救うべく動く弁護士の話。
巻き込まれる奴も少しは反省せえよと思うのだが。
ラストの雰囲気が結構好き。

1988年に火曜サスペンス劇場で映像化。
タイトルは「L特急さざなみ7号で出会った女」。
出演は沢田亜矢子、京本政樹など。何となく想像がつく。

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