西村寿行「わらの街」を読む

「週刊小説」に1978年8月~1979年6月にかけて連載。
当時は高額納税番付作家部門の常連というかトップに君臨していた。

あらすじ

香川の刑事である保月。
ある日、ダイビング中に金塊を発見。
密輸組織の仕業に違いないとにらんだ彼は
手柄を独り占めして立身出世を図ろうとする。
金持ちのボンボンである森戸をパートナーに
捜査に乗り出した保月だが、敵は強大だった。

逆に海底に沈められそうになり
2人は何とか助かったものの保月の妻・志津が誘拐される。
敵の背後には売春組織から暴力団まで操る力が。
さらに志津は権力者の性奴隷にされてしまう。

志津を救い出そうと保月と森戸は奔走するが
女の罠にかかりセメント詰めにされたり
過激派に殺されそうになるなど散々な目に。
その都度死地を乗り越え新興宗教を隠れ蓑にした敵の本拠地へ。
そこで2人が目にしたものとは――という話。


感想

ハード・ロマン感満載小説。
最近の作品にはなかなかない世界。
(読んでないだけかもしれんが)。
当時を知る人に聞くと男性からの支持が圧倒的だったそうだ。

まあこんだけ性奴隷だのなんだの
書いてりゃそりゃそうかも。
しかし決して男尊女卑というわけではない。
むしろなんてんだろ、女性を大事に描いている気がする。
男が立ち上がるためのシチュエーションづくりというか。

そこまできたらラストも行く道いかんかいて感じで残念。
決してハッピーエンドとも思えんし。
保月と森戸の関係性もパターン化してなくて面白い。
どちらも完全無欠というわけではなく極めて人間臭い。
ぶつくさ言いながらも協力し合ってピンチを乗り越えていく。
こういうジャンルのものも手掛けてみたい。

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