1977年初出の十津川警部登場作品の中でも珍しい作品。
トラベルミステリー突入前の長編本格ミステリ。
ぜひとも映像化してほしい1つ。
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あらすじ
ある日いきなり殴られ気絶した十津川警部。
目を覚ますとそこは見知らぬ絶海の孤島だった。
しかし映画のセットのような街角が作られていて
一人また一人と人が現れる。
調べてみると十津川の他に7人の男女が誘拐されてきていた。
そこに猟銃を持って現れる初老の男性。
男は一年前に殺人容疑で逮捕され獄中で病死した青年の父親だった。
男は青年の有罪の決め手となった証言をした7人を集めていた。
一人一人の証言を丁寧に突き崩す男を見つめる十津川。
しかし、そんな中証人が一人また一人と殺されていく。
果たして犯人は誰か? 十津川警部の推理が冴える――という話。
感想
要はクリスティの「そして誰もいなくなった」と
ヘンリー・セシルの「法定外裁判」を掛け合わせた作品という感じ。
真相に迫っていく過程が面白く、人間の証言のいい加減さに
あきれるやら共感するやら身につまされる思いがする。
世の中に起こることで自分に降りかからないものはない、と
理屈ではわかっていてもいざ自分の身に起こると取り乱す人は多い。
そういう時にホントの部分が試されるんだろうねえ。
トラベルミステリーで大ヒットを飛ばす前の秀作。