天使シリーズ3・三好徹「汚れた天使」を読む

1978年の文庫版。
内容は1968年発表の表題作「汚れた天使」を始め
「虚ろな天使」「いかさま天使」「罪ある天使」
「悲しき天使」「幻の天使」「天使の馬」の計7編。


あらすじ(汚れた天使)

「私」はある中央紙の横浜支局詰の新聞記者。
上司と折り合いが悪いせいか、能力はかわれど出世できず。

ある日、同僚の若い記者が娼婦に入れあげているというので
支局長から頼まれ話を聞きに来た。

プライベートにとやかく言うのは好きではないが
高校の後輩ともなるとそうはいかない。

しかし、私はそこであらためて世の中の残酷な仕組みや
人間の哀しみについて思い知らされることとなった――という話。


感想

ひところ三好徹さんの作品はよく読んだ。
推理作家協会賞受賞作「風塵地帯」とか直木賞受賞作「聖少女」。
2時間サスペンスになった「コンピューターの身代金」「モナ・リザの身代金」など。

「風塵地帯」面白かったな。

それはさておき「天使」シリーズ。
「私」という新聞記者の視点からハードボイルドタッチで語られる連作短編。
実際新聞記者だった著者の体験がいろいろ反映されているのだろう。

推理作家の中でも結城昌治や土屋隆夫と並ぶくらい文学的な人だな~と思う。
外国作品でいうとビル・プロンジーニの「名無しの探偵」シリーズみたいな感じ。

1973年の「追跡」という中村敦夫主演の
テレビドラマの原作に天使シリーズはなっている。

この「汚れた天使」の放送を巡って大揉めし、
ついにお蔵入りした逸話もあったりする。再放送しないかね。

本格ミステリ好きな人にはイマイチかもしれんが
味わい深い小説を読みたい人にはおすすめ。

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