1960年刊行の長編ミステリ。
第14回日本推理作家協会賞受賞作。直木賞候補にもなった。
1961,1970,1985年と3回テレビドラマ化されている。
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あらすじ
本多社長のワンマン経営に反発し、
泥沼化した「本多銃砲火薬店」の労働争議。
経営陣の肝入りによる第二組合が作られ、
ますます熾烈になる中、社長の一人息子・昭一と恋愛中の
第一組合に属する花城由紀子が突然失踪。
失踪から二日後、山梨県の昇仙峡で昭一の遺体は発見されたが、
由紀子の遺体は見つからなかった。
由紀子の妹・佐紀子は第一組合のリーダー・豊島の協力を得て、
殺人犯として指名手配された由紀子の行方を追うが、
争議中の会社で奇怪な連続殺人事件が起きる――という話。
感想
なんやかんやで上手い。
正直、こいつ犯人ちゃうかって途中で気づくのだが
「あれ、それもひっかけかな」という風に思っちゃう。
そのあたりの組み立てがやっぱり上手い。
労働争議が頻発していた時代背景を巧みに取り入れている中で、
女性を主人公に事件を追っていくその描き方に先見の明を感じる。
タイトルも最初「なんじゃそりゃ」と思うのだが、
最後まで読むと「ええタイトルやんけ」と。
我ながら単純。
1961年版は30分の連続ドラマ。さすがに観る機会はなさそう。
1970年版は火曜日の女シリーズの一つ。
十朱幸代、江夏夕子、児玉清、辰巳柳太郎、高橋昌也など。
十朱さんが佐紀子で児玉さんが豊島なのかな。
1985年版は火曜サスペンス劇場。
これは観たような気もするけど記憶にない。
真野響子、高木美保、篠田三郎、織本順吉、水原英子など。
1970年版と1985年版は機会があれば見比べてみたいねえ。
追伸
1970年版を観た。
姉と妹をひっくり返してんだな。
姉が十朱さんで、妹が江夏さんね。豊島はアタックチャンス。
全6回で、労働争議の話はほぼない。
そもそも争議中でもない。
メインは十朱さんと児玉さんが事件を追う感じ。
これはこれで、まあアリかと。