1971年出版の長編ミステリ。
もともとは週刊現代に連載されていたもの。
1985年に火曜サスペンス劇場でテレビドラマ化。
出演は田中美佐子、中山仁、西岡徳馬、高橋ひとみ、田島令子など。
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あらすじ
大正重電に勤める30歳、サラリーマンの小木曾。
妊娠中の妻・律子と一人息子・洋一のために今日も働いている。
ある夜、自分に目をかけてくれている若き重役、
岩波のお供で銀座の高級クラブに出かけることに。
誰も自分のことなど気にしてはいない。
そんな環境に辟易し、タクシーで帰ることになった。
ところが、足元にあった包みから3200万円が。
誰かが置き忘れたのだ。
慌ててタクシーを降りて交番に届けようとするが、結局持って帰ることに。
家に帰れば律子からカラーテレビを買ってくれとの話が。
小木曽は「白昼の囚人」と呼ばれるサラリーマン生活からの脱皮を決意。
自由に生きている先輩・北大路や
銀座で知り合った夏子らの協力で生まれ変われると思ったが――という話。
感想
50年前は終身雇用制で定年は55歳。
現在の雇用の流動化、終身雇用もへったくれもない時代とは隔世の感。
にもかかわらず、昨日か今日のアンケートでは
小学生か中学生か忘れたけど将来なりたい仕事の第1位は会社員。
いやいやそれは逆コースでないかい。
これからは配分の差こそあれ、個人で稼ぐことを考えないと生きていけませんで。
誰かに守ってもらおうって誰が守ってくれるもんか。
納税は義務だが、給付はケチって
最悪生活保護がありますからなんて平気で言う国だぞ。
閑話休題。
で、まあどんでん返しといえばそうなのだが、うーんという感じ。
夏子のキャラは著者ならではというところもあってさすがなのだが。
ドラマ化の際には小木曽は性転換で主演は田中美佐子みたい。
こうなると金を偶然に手に入れる以外は別の話みたいになりますな。
原作のラストは死のうとしてもその勇気はなく、
息子の名前を絶叫するって話なのだがそこらあたりはどうなってんだろ。
なかなか観る機会がないけど、ぜひとも見比べてみたいところではある。