松本清張映画化作品集1「証言」を読む

2008年出版の短編集。
表題作のほか、「内海の輪」「地方紙を買う女」
「種族同盟」の計4編を収録。

「証言」は1958年に週刊朝日で2週にわたり掲載。
黒い画集シリーズの一つ。
1960年に東宝で映画化。
その後、1962年・1965年・1984年
1992年・2004年と5回テレビドラマ化。

「内海の輪」は1968年2月から10月にかけて連載。
いわゆる倒叙ものの作品。
なので、殺人の後の話が原作は長い。

1971年には松竹で映画化。主演は岩下志麻。
1982年にザ・サスペンス、2001年に火サスでテレビドラマ化。

「地方紙を買う女」は小説新潮1957年4月号掲載。
地方紙に連載をしていた作家・杉本。
東京の女性が地方紙に連載されている杉本の小説を
読みたいということで新聞社に手紙が届いた話を知り、
その女性にお礼状を書いた。
ところが、小説がつまらなくなったので
もう新聞購読はやめるというハガキが届き、杉本は――という話。

隠されていた犯罪がひょんなことから暴かれていくという
松本清張十八番のパターンの作品といえる。
こういう具体的なタイトルをつけているのも珍しい。

これなんか何回テレビドラマ化しとんのよという話で
1957年・1960年・1962年・1966年・
1973年・1981年・1987年・2007年・
2016年と実に9回を数える。

1973年版は恐怖劇場アンバランスの第6話。
井川比佐志、夏圭子、山本圭らが出演。
これは昔DVDで観たような。井川さんの気難しい小説家が似合ってた。

1981年は土曜ワイド劇場。
「ベルばら」の安奈淳、作家が田村高廣。
他は室田日出男、森本レオらが出演。
昔再放送で観たような気がするけど、あまり覚えていない。
室田さんがポットのやつ飲んで死ぬのこれだったかな。

1987年はフジのドラマチックナイト。
とにかくきれいだ小柳ルミ子、作家が露口茂さん。
他は中尾彬、吉行和子などが出演。

これが一番イメージに合うかなあ。
出演者のバランスがいいような。
カプセルホテルで事件を推理する山さん、
じゃなかった露口さんが何とも言えない。

原作は戦争に夫を取られた女性の悲劇なわけだが、
まあ映像化する際は時代をどこに据えるかで変わるわね。
この作品の場合は、根室の漁業、ソ連に拿捕された背景が。
北方領土のことを入れてるのがドラマに深みを与えている。
ドラマの質が全体的にいい。
我らがルミ子さんはサスペンス作品がやたら似合う。

2007年は日テレの火曜ドラマゴールド枠。
今思えば2時間サスペンスからいち早く撤退したのは
先見の明があったのかね。それで飯食ってた方はたまらんだろうが。

内田有紀主演、作家は高嶋政伸。
他は秋野暢子、国分佐智子、左時枝などが出演。

2016年版は杉本を主人公にしている。テレ朝。
杉本を演じたのは田村正和。兄弟で演ってることになる。
地方紙を買う女は広末涼子。「オヤジぃ」の親子共演。
こん時ですな、渡辺麻友が芸者で出たのは。

テレビはこんなにやってるけど映画は1回。
しかも1959年。古い。アンド日活。向かない。
渡辺美佐子、芦田伸介。DVDにならん限り観れませんわな。

「種族同盟」はオール読物1967年3月号。
黒の奔流」のタイトルで1972年松竹で映画化。
テレビは1979年・2002年・2009年と3回やってる。

どれも今日的な要素もあり、
これからも映像化されていくんでしょうねえ。
そういう作品を書かんとあきませんわな。

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