1986年出版の乱歩賞受賞後長編第1作。
本格ミステリでもあり青春ミステリでもある。
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あらすじ
とある国立大学の女子学生たちが入居している「白鷺荘」。
管理人のばあさんが口うるさく見張っているため、
男子学生は決して入れないと言われていた場所だ。
この白鷺荘である日突然、事件が勃発。
4年生で茶道部所属の牧村祥子が二階の自室で死んでいたのだ。
発見したのは同じ茶道部の相原沙都子と金井波香。
自殺か、それとも他殺か?
卒業を半年後に控えた秋の季節に、同級生たちの心は揺れ動く。
沙都子は意識する相手、剣道部の加賀恭一郎と共に
祥子の死の謎を解き明かそうと奔走する。
祥子はある秘密を抱えていた。
そして第二の事件が巻き起こる――という話。
感想
社会人になる前の大学生の心の揺れ動きをとらえたミステリ。
意外と大学生の話ってそれほど多くない気がするんだよねえ。
しかも、剣道部や茶道部の話になるとかなり珍しい気が。
それがトリックの舞台装置になってるところがまたいい。
この時代の東野圭吾の作品って読後感はあまりよくない。
デビュー作の「放課後」なんか乱歩賞史上最悪のエンディングかも。
しかし、今思えばそれが一つの魅力だったような。
この「卒業」なんかも結構終りの方は微妙なものがある。
でも、なんか納得いくんだよねえ。
ハッピーエンドでは全くないんだけど
青春ミステリとしての切り取り方が素晴らしいというか。
青春の光と影の描き方が心に残るんだよねえ。