1972年出版の作品。主人公は矢部警部補。
後に左文字進シリーズで出てくる矢部警部と同一人物かどうかは定かでない。
1986年に土曜ワイド劇場で「人妻の背徳日記殺人事件」のタイトルでドラマ化。
出演は石立鉄男、佳那晃子、村井国夫、平淑恵、小林昭二、池波志乃など。
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新進画家の田島とその妻・麻里子。
2人は幸せな結婚生活を過ごしていたが
ある日、田島の不倫を暴露した手紙が麻里子のもとに。
半信半疑だった麻里子だが田島の浮気現場を目撃。
離婚を決意した麻里子は男友達の井関に相談。
田島を含めた奇妙な三者会談が始まる中、
麻里子と田島が青酸カリを飲んで死亡してしまう。
無理心中か、他殺か?
捜査にあたった矢部警部補は一度は無理心中の
結論を下すものの、それに異を唱える人物が現れ――という話。
感想
初期の心理サスペンス作品。
1971年「ある朝 海に」を皮切りに
「汚染海域」「殺しの双曲線」など
様々なジャンルの作品を6冊生んだ後の一発目。
結局1972年はこの後「ハイビスカス殺人事件」
「名探偵が多すぎる」「伊豆七島殺人事件」の計4冊を送り出す。
犯人は前半のうちにまあわかるのだが
その動機や心理トリックを丹念に追いかけていくとこが魅力。
この丹念さが最近の作品には薄いかも。
犯人の犯行を否定するあるものが
犯行を示すことになってしまう展開は見事。
著者この時42歳。
頑張らなあかんなあ、オレ。