2012年出版の作品。
BSE問題、食品偽装を扱った警察小説。
2013年にWOWOWで連続テレビドラマ化。
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あらすじ
身体を壊し警視庁捜査一課継続捜査班に所属する田川信一警部補。
ある日、発生から2年が経ち未解決になっている事件の捜査を命じられる。
「中野駅前居酒屋強盗殺人事件」がそれだ。
2人の男が殺害された事件だが、
当時の捜査本部は2人に面識がなかったことから
犯人を金目当ての不良外国人に絞って捜査していた。
しかし昔かたぎで「メモ魔」として知られる田川は後輩の池本と
関係者を訪ね歩き証言をひたすら集めることで真相に近づいていく。
一方、新進気鋭のインターネットのメディア記者・鶴田真純は
大企業の裏側を切り裂く記事づくりで注目を浴びる存在。
ある内部告発をきっかけに食の安全性に関する情報を掴んでいく。
田川の捜査と真純の取材によってある一人の人物が浮かび上がる。
だが、真相を掴んだ時、更なる圧力が二人に降りかかる――という展開。
感想
これは面白い。
タイトルは「震える牛」だが読んでるこちらが震えてくる。
そりゃドラマ化もされますわな。
民放じゃなくてWOWOWってとこが問題の深さがわかる。
ドラマは観てないけど。
食の安全もさることながら、地方衰退の要因もわかりやすい。
そしてデフレの中、安全な食品に対する消費者の意識の低さも問題だ。
結局、健康被害も地方衰退もそりゃ大企業の非情な論理もあるけど
日々を過ごす側の意識の低さも問題で、自業自得な側面もあるわな。
ま、金がなければ安全な食事もできんのよね。
さらには警察の利権構造に突っ込んでいるところもいい。
宮部みゆきさんの「火車」をイメージして書いたという話を
どこかで読んだような気もするのだがホンマかいな。
ひとつだけ問題をあげれば、これプロローグとエピローグいらんでしょ。
その方がすっきりすると思うんだけど。
いや~しかし、これは読んでよかった。勉強になった。
世の中の闇は深いですな。恐ろしい社会に生きてるもんでっせ、ホント。