1981年のにっかつ映画。
アリスの同名曲がテーマソング。
同じ日活でも石原裕次郎の同名映画とは別。
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あらすじと感想
まあなんちゅうかやるせない映画。
久々に観てもそのある意味けったくそ悪さは変わらない。
どんな話かといえば、田舎から都会に出てきた青年が
金持ちの娘に惚れてしまうが最後は悲劇を迎えるという話。
青年を演じたのは本間優二。
暴走族ブラックエンペラーの名誉総長も務めたお方。
現在は芸能活動をしていないが何してんだろ。
バリバリ東京出身だが、地方出身の若者役がよく似合った。
青年にちょっかいばかり出すムカつく金持ち女が蜷川有紀。
こういう女を演じさせたら天下一品のお方であった。
こんな奴ビンタくらわせてまえ! と思える人は現在ではなかなかいない。
なんちゅうても己が誘惑したくせに、翌日青年が勤めている
ガソリンスタンドにやってきて「おーい、強姦魔」なんて声をかけてくるのである。
たまったもんじゃない。
ま、しょせん金持ちと貧乏人は生きる世界が違うわけで。
金持ち女にけしかけられた遊び仲間のドラ息子どもが
青年が夜働いているバーを襲い、身重のホステスを流産させる。
それを見た青年はクズどもを刺殺する。
金持ちというかバカどものシャレにならん行動が
一人の青年の運命を狂わせるのだ。
これまた、たまったもんじゃない。
ラスト、アリスの「狂った果実」が流れる中、
田舎の母親に電話し坂を下りていくシーンはグッとくる。
まあしかし、ある意味コンビニでアホみたいな動画撮って
投稿してるような連中なんてこの映画に出てくるドラ息子となんら変わらん。
しかし、こういう連中どついたらどついた方が犯罪者になるってのは実に割に合わん。
世の中、加害者が必ず悪いとは限らんわね。
個人の屈折した心理を描いた青春映画は今も昔もあれど、
都会人と田舎者、金持ちと貧乏人の断絶という部分を
鮮烈に描いた作品は最近少なくなったような気がする。
そんだけ豊かになったんかもしれんけどね。
しかし、根底にはそうした問題はまだまだ根深い。
観るたび刺激を与えてくれる作品。
現代の「狂った果実」を書いてみたい。