1965年の東映映画。
監督は内田吐夢、原作は水上勉。
出演は三国連太郎、高倉健、伴淳三郎、左幸子など。
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あらすじ
1947年9月。
青函連絡船遭難の日に犬養多吉(三国連太郎)は仲間2人と質屋一家を殺害し火を放った。
そして函館から小舟で下北に逃げたのだ。
刑事弓坂(伴淳三郎)は身元不明の水死体に疑問を持つ。
しかし、結局事件は迷宮入り。
それから10年が経った。
舞鶴で犬養は樽見京一郎と名を変え、篤実な実業家として成功していた。
そこに犬養の素性を知る杉戸八重(左幸子)が訪ねてくる。
八重は犬養が逃亡中の下北半島で出会った娼婦だった。
一夜を共に過ごした後、犬養は八重に大金を残して去ったのだが
それはすさんだ心を癒してくれた女への優しさでもあった。
八重は犬養の親切が忘れられず、再会を心の支えとして生きてきた。
その八重を犬養は殺めてしまう。そこから彼の崩壊が始まった――という話。
感想
敗戦後の飢餓状態の中で生きなければならなかった人たちの姿を描いた社会派作品。
自分が切ってやった犬養の足の爪を肌身離さず持っていた八重のけなげさが哀しい。
荒廃した社会の底辺で必死に生きた人たちのそれぞれの姿。
追うほうも追われるほうも理由があった。
過去の旧悪を暴かれないために
心ならずも手を下してしまうという展開は珍しくはないが
名優の競演によって紡がれたこの映画は3時間という長さを感じさせない。
ラストがこれまた切ない。
最初観たときは一瞬何が起きたのかわからなかった。
高校生の頃だったと思うけど、今観ると全然感じ方が違う。
歳くったのね、やっぱり。
連ドラ、単発ドラマもあったけどやっぱりこの映画版が一番かなあ。
全部悪くないけどね。
もうそろそろこれなんか前後編でスペシャルドラマ化してもよさそうなもんだけど。
中途半端な松本清張ものより絶対いいんじゃないかねえ。