1966年の東映時代劇。
主演は中村錦之助、監督はフジテレビから呼んだ五社英雄。
錦之助時代最後、五社英雄最初の東映作品になった。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
あらすじと感想
ストーリーと内容は毎度おなじみ。
何回リメイクしとんのだという話なのだが
要は左膳が手に入れた「こけ猿の壷」を巡り
柳生一派と公儀の隠密たちが奪い合いをするという話。
チョビ安、お藤、与吉、萩乃など登場人物もまあ一緒。
それまで左膳を演じ当たり役となった大友柳太朗が
大岡越前に扮して最後に出てくるのも見どころである。
他作品とちょいと違うところは
左膳がなんで片目と片腕がないかという
過去の部分を冒頭に取り入れているところ。
そっから先は
痛快娯楽作品というのはこういう作品だと言わんばかりに
アクションと笑い、そして男の美学が炸裂していく。
セリフで言えば大河内伝次郎が左膳を演じた
「しぇいは丹下、名はしゃぜん」の言い回しがあまりにも有名だが
錦之助バージョンではぶっきらぼうに言うだけである。
過去を振り払えないアナーキーな左膳もいいものだ。
いろんな俳優が左膳を演じているが
意外とこの錦之助バージョンが一番かもしれない。
この頃の五社監督のアクションは冴えてる。
何で後々文芸ものに行ったんだろねえ。
やっぱりこのお方は時代劇の方が向いている。
「三匹の侍」が評価されて東映にも監督しに行ったんだろけど
大変だったでしょうな、やっぱり。
俳優組合問題などもありシリーズ化されることなく
この一本きりだったことが残念。
東映映画が基本的に好きなんだけど
やっぱり損得勘定抜きで死地に向かうあの感じがたまらない。
他の会社の作品では得られない雰囲気なんだよねえ。
観ておいて損はない痛快娯楽映画。