松本清張シリーズ「 天城越え」(1978年版)を久々に観る

1978年NHK土曜ドラマ枠にて放送。
原作は松本清張の同名短編ミステリ。
これが初めての映像化だった。
その後、1983年に映画化、1998年にテレビドラマ化されている。
出演は大谷直子、佐藤慶、鶴見辰吾、中村翫右衛門、宇野重吉など。

あらすじ

大正15年のある夏の日、
天城峠付近で殺人事件が発生した。

被害者は流れ者の土工(佐藤慶)で、
目撃者の証言から一緒に歩いていたとみられる
娼婦・ハナ(大谷直子)が疑われることに。

自分は無関係と言い張ったハナは、
結局証拠不十分で釈放される。

天城峠を抜けて下田に向かっていたのは、
土工とハナだけではなくもう一人いた。
家出した鍛冶屋の少年(鶴見辰吾)だ。

時は流れ、事件から数十年経ったある日、
今では印刷所を経営するかつての少年(宇野重吉)のもとに、
土工殺しの事件を担当した田島刑事(中村翫右衛門)が――という話。


感想

昔、松本清張が亡くなった時、追悼で放送された時に観た。
それ以来、久々に観てみると、構成が抜群ですな。

昔は正直どこがいいのかわからんかったけど。
そりゃ19・20歳の人間にとっちゃあねえ、
ドンパチ観てる方が響いたわけで。
何よりかにより、惻隠の情だの人情の機微だの分かりっこない。

田島刑事の回想と、かつての少年の回想がリンクしてくる。
こういうやり方は技術がいるわけで。さすがの一言。

松本清張も巡礼者の役で登場。
こんな終わりの方だったのね。
もっと前だと思ってた。人間の記憶なんてええかげんなもんだ。

大谷直子さんはキレイですな。
なんか着物着てると汚れ役が多いような気がするのだが。
そうでもないか。『やさぐれ刑事』は現代劇だったし。

『暗闇仕留人』にゲストで出た話、好きなんだけどなあ。
恋人(兄か弟だったかもしれない)が冤罪でひっくくられて、
無罪を証明できるのが石屋なんだけど
石屋は仕留に行った帰りで証言できない。
そうこうしているうちに、恋人は死に
本人は女郎屋に売られてしまう。

で、石屋は二人の無念を晴らして報告に行くんだけど
女は再び女郎屋に戻っていつものように働き始める。
あれはいいラストシーンだったなあ。

閑話休題。
話があっちこっちにそれる。

で、本作は佐藤慶さん演じる土工の過去の話など
土工の人物造形が割としっかりしているのが特徴。
たぶん映画や1998年版では、
そこまで土工に力を入れてなかったような記憶が。

中村翫右衛門さんと宇野重吉さんが向かい合うと、
それだけでズドーンと重みがありますな。

この年の芸術祭ドラマ部門大賞受賞。
いいものはいつ観ても面白い。

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