1989年火曜サスペンス劇場にて放送。
高林鮎子シリーズ第6弾。
原作は津村秀介『異域の使者』。
ゲストは佐藤英夫、萩尾みどり、江藤潤、西田健など。
あらすじ
上野無縁坂で主婦が何者かに刺殺された。
容疑者は被害者の夫・宮本信夫(江藤潤)。
鮎子は国選で宮本の弁護を引き受けることに。
友人などの証言から宮本のアリバイが成立するが、
当の宮本はなぜかアリバイを否定し、自分がやったと語る。
ついには捜査を担当していた退職刑事・尾形(佐藤英夫)までが、
宮本は犯人ではないと資料を提供し、犯人は村松(西田健)だと言い出した。
鮎子は宮本の無実を確信し、調査を進めていくが――という話。
感想
これが一番印象に残ってるかなあ。丁寧というかね。
人間の心理のアヤというか、そういうのがよく描かれているなと。
ゲストは地味目だが、それがまたリアリティがあって。
メイントリックは山陰本線と東北本線の同じ名前の駅。
その船岡駅で同時刻に発車する列車を利用したもの。
よく見つけるねえ、こういうの。
アリバイが成立しているのに犯行を認める容疑者、
容疑がかかってる夫のアリバイを否定する妻、
真犯人の存在を強く主張する元刑事。
やるせない内容に「シングル・アゲイン」が重なり、さらに倍増。
ま、世の中、悪い人間が裁かれるとは限らない。
同時に、裁かれる人間がすべて悪いとも限らない。
どだい、人間の心情を法律で解釈するのは難しいやね。