1973年10月~1974年3月、日テレ系列で放送。
子連れ狼第1部と第2部の間の番組。日曜日に放送してたのね。
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あらすじ
時は天保、密輸を持ちかけられた長崎奉行は
「不正は役人のすることではない」と拒否。
するとイスパニア剣士が奉行ならびにその妻を殺害。
さらに息子の喉を切り裂き、その許嫁を凌辱し逃走。
とんでもない害人である。
声を失った息子は剣の腕を磨き、
18年後「鬼一法眼」と名乗り仇敵目指し復讐の旅に出る――というお話。
感想
主演は殺陣の名手若山富三郎さん。
全26話にわたってかっこいい殺陣を見せてくれる。
さらに5、19話は監督も担当。
全26話の中でも白眉の出来は第3話「火炎の街道」。
干ばつが続く農村で
唯一水が出てくる井戸がある寺を盗賊が占拠。
人質には村長(加藤嘉)の娘がとられている(なんか老けてる)。
村人は侍を雇い盗賊を追いだそうとするが
逆に雇った侍(小松方正)に寝返られる始末。
さらには村の娘をかどわかし、懇願しに来た父親を切り刻む。
極悪非道の悪人達。
村にやってきた法眼。
村長の次女が助けを依頼する。
しかし、村人たちは侍を信じない。
「みんなでなんとかするだ」
そこへ盗賊が2人登場。
娘と父親の無残な死体をもって。
さっきまでみんなでとか言ってた奴ら、
そろいもそろって沈黙。
唯一歯向かった和田浩治、ボコボコにされる。
とどめをさそうとする盗賊をやっつける法眼。
盗賊、娘を助けたかったから金よこせと逃げる。
村人ども、一目散に自分のことしか考えず家に逃げ帰る。
闘わず盗賊に対して金で解決しようとする村長。
それだけでなく反対している和田浩治を人身御供にしようとするありさま。
「お前達もこいつらと変わらねえ、鬼だ!」
哀れ和田浩治、あえなく惨殺。
盗賊、当然金だけとって娘返すつもりはない。
そこに法眼登場。
単身人質を救出すべく寺に乗り込む。
人質を取られている中、どうやって救出するか?
それは観てのお楽しみ。
なんせ救出して戻ってくる。
村人ども、和田浩治の死体そっちのけで井戸に殺到。
加藤嘉は法眼にお礼も言わず
ブサイクな長女連れて早々と逃げ帰っていく。
一人清い心の次女だけがお礼を言い、
口のきけない法眼に名前を教えてほしいと告げる。
石段の石に筆で名前を書き、去っていく法眼。
その後ろ姿を見つめる次女。
そこにぽつぽつ降ってくる雨。やがて本降りになる。
あの人の名前を消さないでと石を雨から守る次女。
その横を雨に喜んで家に帰っていく村人どもの対比。
大衆の愚かさと人間の気高さを見事に描いて最高である。
他に第8話「濁流の美女狩り」も素晴らしい出来で必見。
最終話では仇敵ゴンザレスを討ち果たす。
たぶん元ネタはマカロニウエスタンの「殺しが静かにやってくる」。
時代劇が好きな人には一度は観てもらいたい名作である。