1994年火曜サスペンス劇場にて放送。
原作は松本清張の同名長編ミステリ。連載時は『処女空間』のタイトル。
主演は毎度おなじみ古谷一行。今回は犯人役ではなく刑事。
吉行和子、洞口依子、火野正平などなかなかいいメンバー。
あらすじ
学会参加で出張に来ていた仙台のホテルで医師・住田が殺された。
奇妙なことに死体は血液がほとんど抜かれた状態。
仙台中央署の刑事・大塚(古谷一行)は
被害者が泊まっていた旅館とは違う場所に呼び出されていたことから
手がかりを探るが成果はなく、結局捜査本部は解散。
諦めきれない大塚は違う事件の調査で東京に向かった際、
住田を最後に見た医療機器会社の小池(火野正平)と
住田の趣味の俳句仲間・荻原和枝(吉行和子)などを訪ねる。
少しずつ捜査は進むものの、これまた決定的な成果はなし。
大塚の目に映ったのは和枝と息子の妻・美奈子(洞口依子)の不仲ぶりだけだった。
出張を伸ばして捜査に取り組み大塚をあざ笑うように、
住田と同じ学会の医師・香原が林の中で殺害される――という展開。
感想
よくできたサスペンス作品。
エピローグ⇒回想⇒エンディングという構成。
何の関係も無さそうな俳句が実は関係しているのもいいし、
事件の流れが大塚刑事の視点で丁寧に描かれていく。
土地勘ないはずなのに、だんだんアンタ東京の人かいなみたいになるのはご愛嬌(笑)
反面、勘のいい人は雨のシーンで「ああ、こうだな」ってわかっちゃう。
あそこ、もうちょっとどないかならんもんかね。
古谷一行・吉行和子・洞口依子・火野正平のカルテットは好みだけど。
もっとも古谷一行&火野正平とくれば、『混浴露天風呂』シリーズを連想してしまうが。
医学界の裏側を変名で告発していた医師が、
肝心の人の命を救うことをないがしろにしていたってのも皮肉が効いてますな。
こういうサスペンスは余韻もあり、いろいろ考えさせてくれるところがあっていいね。