1974年10月から約半年にわたって放送。全25回。
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あらすじと感想
主な登場人物は次の通り。
三ツ森甲介・・・石立鉄男
三ツ森輝夫・・・原田大二郎
三ツ森朝美・・・村地弘美
三ツ森滝代・・・赤木春恵
三ツ森保太郎・・森繫久彌
酒井忠助・・・・名古屋章
酒井初子・・・・岸ユキ
酒井敬一・・・・白石淳
大島竹造・・・・谷村昌彦
大島文子・・・・春川ますみ
陰山まこと・・・川口晶
第1話が秀逸な出来栄え。
父親の保太郎(森繫久彌)と対立して家を飛び出し、
先輩(犬塚弘)と一緒に住んでドラムで食っていこうとしていた甲介(石立鉄男)。
ところが保太郎が危篤との報せを受け、
病院に駆けつけると二人きりにしてくれと保太郎が周囲に告げる。
そこで衝撃の告白が。
なんと継母の滝代(赤木春恵)だけでなく
保太郎までが甲介と弟・輝夫の父親ではなかったのだ。
2人は保太郎の命の恩人である上官の子だった。
母親は輝夫を産んですぐに亡くなったという。
保太郎と滝代は初婚だったのだ。
この意外性あるシリアスな設定がそれまでの4作とは異なる新機軸。
甲介が家を飛び出してから保太郎が酒を飲み始めて早死にするとか
滝代が後妻とか家賃を払ってくれていたのは実は保太郎とか
細かい設定やカセ、人間関係のアヤのつけ方が素晴らしい。
お手本のような第1話と言えるかも。
で、甲介はドラマーの道を捨て
家に帰り家業の水道屋に専念しようとするのだが――ということで話は続く。
反対する輝夫との話、輝夫が真実を知る話などを経て
第13話では竹造、通称竹さんの親戚・まこと(川口晶)がやってくる。
滝代の体調不良を受けてお手伝いとして雇うわけだが、
このあたりも意表を突いた新展開ではある。
川口晶さんが「雑居時代」とは180度違うキャラで登場。
好きなエピソードの一つは第15話「顔で笑って…」
それまでにも登場しているクラブ歌手の悦子(山口いづみ)が絡む甲介の失恋話。
最後に甲介と悦子が会う押し方がいい。
輝夫から言われて甲介が泣いてエンディングだったら物足りんからね。
あそこで2人が会って会話して別れるからさらに盛り上がれる。
ああいうところは勉強になるし、
自分で書く時には外してはいけないやり方なんだよな。
二度と会うことはないと互いにわかっていながら、っていうあのシーンは好き。
第21話「おふくろが二人!」は
死んだと聞かされていた甲介と輝夫の母が実は生きていたという話。
ここの甲介と本当の母親(鳳八千代)の会話のシーンもいいんだよなあ。
第22話「兄妹じゃない!」は
ついに兄妹じゃないことがチャーミーこと朝美にわかってしまう話。
最終回では輝夫と初子が結ばれ、甲介はまことにプロポーズする。
このあたりはもうひとひねりあってもいいような気もするが、
なんせハッピーエンドなのはいいかな。
ゲストも山田吾一、杉田かおる、望月真理子、有吉ひとみなど
これまでのシリーズでレギュラーだった人やゲストだった人が多い。
山本紀彦さんは今回は酒屋。おなじみの人がどんな役で出るかも面白い。
そういえば今回は富士真奈美さんがいない。
また第1話の森繫久彌さん、途中で出演する左幸子さんなど大御所もいる。
谷村昌彦さん&春川ますみさんの夫婦もさすが。
いまあんな着物着た奥さんなんて見ませんわな。絶滅危惧種。
兄弟の絆&腹違いの妹との絆、育ての母との絆、
同じ出生の秘密でも赤いシリーズとは随分違う。
いろんな見せ方があるということですな。
狂乱物価という言葉が生まれた時代ならではの空気や背景、
家業を継ぐことへの葛藤などいろいろ学ぶところは多い。
このドラマが放送された当時、自分は1歳。
こういう時代に育ってきたんだよなあとあらためて実感。
昭和は遠くなりにけり。