1983年2月~5月にかけてTBSで放送。全14回。
それまでも不倫を描いたドラマは存在したが、
どちらかといえば主にいわゆる昼メロと呼ばれる時間帯で
ゴールデンタイムに不倫ドラマが登場したのはたぶんこれが最初ではないかと。
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あらすじと感想
“金妻”という言葉を生み出し、ブームとなったその第1弾。
実際に本格的なブームを生んだのは第3弾だが、
まあこれが話題にならなければ3弾まで行かなかったわけで。
第1弾の主要メンバーは次の通り。
中原宏……古谷一行
中原久子…いしだあゆみ
村越隆正……竜雷太
村越英子……小川知子
田村東彦……泉谷しげる
田村真弓……佐藤友美
沢玲子……石田えり
神谷元……加藤健一
斉藤佳代……佳那晃子
主題歌はピーターポールアンドマリ―の「風に吹かれて」。
ボブ・ディランの作品だけどまあこっちの方が爽やかですからな。
こういう郊外の新興住宅地をメインに描くのも珍しければ、
家族間の交流をメインにするのも珍しかった。
普通子どもの話とかも入れそうなもんだが、ほとんどない。
最終回で村越と玲子の間に子どもができたのを知って、
嬉しそうにしている玲子に子どもがいない真弓が嫉妬するぐらいのもんだ。
この頃は一億総中流化なんて言われてて今とは隔世の感がある。
現実よりちょっとハイソサエティなんだけど、
頑張れば手の届く世界だと誰もが考えられたころ。
そのあたりのさじ加減が絶妙で、さすがの一言。
やっぱり鎌田敏夫ドラマはすげえなあとあらためて思う。
中原家には2人の男の子、村越家には女の子が1人、田村家にはなし。
第1話のファーストシーンは宏を子どもが起こしにいってベッドにダイビング。
痛がる宏を心配する久子だが、その原因を宏の朝勃ちと知って笑う。
このあたりの出方がうまいなあと。
要するに浮気できるぐらい元気ってのもさりげなく描いてるってことですな。
で、宏が最初に不倫するわけではなく
ゴリさん村越が英子と別れて玲子と一緒になりたい展開に。
娘も教育ママの英子より玲子に懐いたりする。
そりゃ離婚になりますわな。
そんなこんなでやけぼっくりに火がついた宏と英子。
宏にフラれた佳代が腹いせに久子に告げ口するもんだからさあ大変。
なんやかやで一番うまくいっているのは言い合いが日常茶飯事な田村夫婦。
泉谷しげると佐藤友美の組み合わせが絶妙。
一人暮らしの英子は最終回でフランスに旅立つ。
ある意味、英子のドラマって側面もあるよねえ。
個人的には加藤健一さんの神谷が一番好きかな。
ああいうキャラクターはいいよねえ。
ドラマ的に人気を集めたのはパートⅢで
第1弾で夫婦役だった古谷一行といしだあゆみが元恋人で不倫関係に。
小林明子の主題歌がバカ売れして、一般的に金妻といえばパートⅢではある。
最高視聴率もパートⅢだしね。
しかし、平均視聴率は亡くなった岡江久美子さんや田中好子さんが
出ていたパートⅡの方が実は上だったりする。
一番イメージとしては薄いのだが、意外とそんなもんだったりする。
今どうなんでしょうねえ、定期的にワイワイ各家庭が集まるなんて雰囲気あんのかね。
ママ同士はあったとしても、コメダとか行くだろうし家ではどうなんだろ。
まして夫も含めてとなるとね、横の人間関係を重んじる雰囲気ってあるのかな。
細かい考え方にその人個人の考えだけじゃなく、バックグラウンドが出る描き方。
過ごしてきた環境、親の考え方、周囲にいた人々。
そういうのが出るんだよねえ。
そのあたりの人物設定がうまい。
単に好きになる嫌いになるじゃなくて、バックボーンを感じさせる。
やっぱり温故知新というか、学ぶものは多い。