1968年公開の松竹映画。
現代を先取りしたような斬新なストーリーが目を惹く。
もっとも「五辨の椿」現代版を意識したとも言われているのだが。
監督は加藤泰、主演は佐藤充。倍賞千恵子、中原早苗、菅井きんなどが出演。
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あらすじ
東京のマンションで起きたある殺人事件。
被害者はバーのマダム、孝子(應蘭芳)。
刃物でめった刺しにされていたことから捜査陣は恨みによる犯行と推定。
孝子の葬式に現れた4人の女たちが次々と殺されていく。
いずれも生活には困っていない裕福なマダムたちばかりだ。
捜査が難航する中、時効を間近に控えた逃亡中の殺人犯・川島(佐藤充)の存在が浮かび上がる。
直接関係がなさそうな川島がなぜ犯行に及んだのか――という話。
感想
音楽が退廃的で映画のイメージにピッタリ。
時効目前の殺人犯が有閑マダムの遊びで命を落とした少年に殉じ、
殺人に手を染めていく、という設定が秀逸と言うほかにない。
このあたり「天城越え」を後に監督する三村晴彦の脚本が光る。
無骨な感じの川島役には佐藤充。これがまたよく似合う。
女性陣もこんな奴ぶち殺してしまえ、って感じの憎々しさ全開。
ある意味現代の病理を先取りしているような映画ですな。
食道で働く庶民的な感じの倍賞千恵子だが、実はやくざな兄貴を殺して
刑務所に入っていたという複雑な過去を持ってたりする。
そうじゃないと川島と心を通わすという話にもならんわね。
そのあたりのディティールも上手い。
ラストで一人佇む倍賞千恵子がバラバラになった佐藤充の
指名手配写真を繋ぎ合わせていくシーンも素晴らしい。
現代のこういう作品を作ってみたい。