松本清張原作・向田邦子脚本「最後の自画像」を久々に観る

1977年NHK土曜ドラマで放送された作品。
原作は松本清張の『駅路』。何回かドラマ化されている。
脚本は向田邦子。偉大な二人のただ一度の共作。

あらすじ

定年を前にした謹厳実直な銀行マン、小塚(山内明)。
第二の人生が始まろうとしているのに、彼は突然小旅行に出た。

ところが、一か月経っても戻ってこない。
小塚の妻・百合子(加藤治子)が捜索願を出し、
呼野(内藤武敏)と北尾(目黒祐樹)の二人の刑事が動き出した。

誰に聞いても浮いた噂一つない小塚はいったいどこへ消えたのか。
調べていくうちに小塚は旅行へ出る前、500万を引き出していたことがわかる。

さらに若い女性の存在が浮上して、捜査は意外な方向に――という話。


感想

一時代を築いた偉大なツートップの奇跡のコラボ…って言えばいいのかな。
原作の料理の仕方でドラマってのは良くも悪くもなる。

原作の「駅路」は短編なので、脚本にするにはいろいろと手を加える必要がある。
ドラマのタイトルが「駅路」ではなく「最後の自画像」としているところがさすが。

原作ではそこまでゴーギャンの絵についてはない。
ドラマでは小塚という人間の象徴的な小道具として活かしている。

また、原作は男の物語だが、ドラマはいしだあゆみと加藤治子の女の物語。
いしだあゆみの福村慶子って原作では死んでたんじゃないかな。

死んでる人間を生き返らせて主人公に据えるという、このあたりの設定の妙が抜群。
原作者・松本清張はドラマオリジナルの老主人役で登場。

この他、いきなり流れるディープ・パープル「ハイウェイ・スター」も印象深い。
確かシナリオ本があったと思うんだけど、そこではランナウェイズになってたんじゃないかな。

2009年にはフジテレビでリメイク。
脚色のリメイクってのは結構珍しいよねえ。
それだけよくできているってことなんだけど。

とりたてて派手なドラマではないんだけど、味わい深い作品。
特に年取ってくるとねえ、あ~女に騙されんようにしよって実感湧いてくるんだよな(笑)

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