今井正監督映画「ここに泉あり」を久々に観る

1955年公開の独立プロ映画。
監督は今井正、脚本は水木洋子のゴールデンコンビ。
出演は小林桂樹、岡田英次、岸恵子、加藤大介など豪華。
極めつけは山田耕筰が劇中の交響楽団の指揮をとるなど音楽人の特別出演が話題に。

あらすじ

時代は終戦直後。
荒み切ってきた人の心を癒し、労働者や子ども達に美しい音楽をという思いから、
群馬県高崎市に生まれた市民の交響楽団。

しかし、マネージャーの井田(小林桂樹)の懸命の努力も空しく、
集まった楽団員たちの暮らしは一向に良くならない。

楽団の紅一点であるかの子(岸恵子)は音楽学校を出たばかりのピアニストだが、
このままここにいては腕が落ちはしないかと悩む始末。

そんな時、東京から楽団に参加した速水(岡田英次)がかの子を励ます。
だが、彼もまた同じような思いを抱いていた。

人里離れた村の小学生や療養所での演奏を聞いた人の喜ぶ顔は
楽団員を勇気づけてくれるものの、生活には代えられず辞める者も増えてくる。

速水とかの子は結婚するが、生活は貧しいまま。
軍隊上がりの工藤(加藤大介)たちは楽器を質に入れたり
チンドン屋をしながらなんとか生活をやりくりし踏ん張っていく。

そんな中、井田は東京から山田耕筰が指揮をとるオーケストラを招き、
市民楽団との合同演奏会を企画するのだが――という話。


感想

さしずめ昭和版「ブラス!」というところか。
もっともこの映画の方がだいぶ古いんだけど。

物語は群馬の地方交響楽団の実話をもとに作られている。
何もないところから戦後の文化はこうやって進んでいったんだねえ。

コロナ後の前と後では生活が変わると言われているが、
果たしてどうなっていくのやら。

なんせ治療法が確立されてないうちは
とにもかくにも感染しないように気を付けんとねえ。

山田耕筰の動く姿なんてあまり残ってないだろうから貴重。
かれこれ65年前の風景や人物の表情だって替えがきくものではない。

後に神山征四郎監督だったかな、日本フィルハーモニーの映画があったけど。
だいぶ昔に弁天町かどっかで映画館じゃなくて会議室みたいなとこで観たのかな。

若かりし風間杜夫と田中裕子主演のやつね。
あれは感動したなあ、倒産から立ち直っていく話。あれもう一度観たいなあ。

音楽映画も日本の映画文化の大切な一つだし、そのハシリと言える一本が本作だと思う。

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