1956年公開の独立プロ映画。
原作は杉浦明平の連作ルポ「台風十三号始末記」。
監督は山本薩夫、音楽は芥川也寸志。
出演は佐田啓二、菅原謙二、佐野周二、野添ひとみ、桂木洋子など。
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あらすじ
のどかな海辺の町を襲った台風十三号。
役場の前には救援物資を求める人だかりが。
ところが、役場の二階では森県会議員(永井智雄)の入れ知恵で
台風被害に便乗してまだ使える小学校を壊して補助金をせしめようという会議が行われていた。
それに乗っかったのは町長の山瀬(渡辺篤)、議長の友田(左卜全)、
またお前かという感じの町のボスの川合(三島雅夫)。
しかし、学校は台風で倒れ損ねたとはいえ、まだまだ使える。
台風で教科書を失った子ども達のため、教師の妙子(野添ひとみ)は駆けずり回り、
代用教員の務(菅原謙二)はそれに引っ張られてあたふたしている。
それでは困るので町議会は山瀬町長の権限で校舎を取り壊すことに。
手回しよく森県議は配下の者を送って校舎を破壊。
教室を奪われて悲しみにむせぶ子ども達だがどうしようもない。
一方、大蔵省からやってくる監査官をたぶらかすために
蝶々夫人ならぬ町長夫人のみえ(藤間紫)はバスの停留所で見張り。
降りてきた青年・幸一(佐田啓二)を料亭へ連れ込んでサービスするが、
実はこの青年、監査官でも何でもなく友人の務の見舞いに来たのだった。
川合からは袖の下を渡され、芸者・静奴(桂木洋子)まで登場。
その頃、本物の監査官(細川俊之)は山瀬たちにニセ陳情と決めつけていた――という話。
感想
久々に観たがやっぱり面白い。
補助金をめぐる攻防なんてのは今の時代でも通用するのでは。
私腹を肥やそうとする人間のオツムなんて今も昔もそう変わりませんわな。
ま、そうした議員を生んでいる投票する側にも責任はあるだろうけど。
そういうところを描くとややこしくなるので、あくまで風刺喜劇にしているところが小気味いい。
てんやわんやになる感じがたまらなく可笑しい。
まあひらたくいえば水戸黄門ですわな。
台風が来たのをいいことに補助金せしめようとする地方議員の悪だくみを、
友人を訪ねてひょっこりやってきた青年が暴いていくという構図。
別に印籠があるわけでもないんだけど、
まあそれが民主主義といえば民主主義なわけで。
こういうつくりそのものは今でも絶対使えると思う。
ラストもスカッとするしねえ、DVD化してくれんかなあ。