1955年公開の大映時代劇映画。
主演は市川雷蔵、監督は名匠・溝口健二。
原作は吉川英治で当時まだ連載中だった。
昭和30年度芸術祭作品で、1億を超える興収を記録。
当時の1億円だもの、今ならいくらになるんかねえ。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
あらすじ
時は平安時代末期。
西海の海賊征伐を終えた平清盛(市川雷蔵)は、
父親の忠盛(大矢市次郎)とともに鳥羽上皇(柳永二郎)に報告に。
ところが、武家を軽んじる公家たちは冷たい態度。
唯一、忠盛たちに恩賞を与えるべきと主張した藤原時信は謹慎の身に。
清盛は忠盛の書面を持ち、時信を訪ねる。
そこで時信の娘・時子(久我美子)に一目惚れ。
ある日、清盛は商人(進藤英太郎)から本当の父は白河上皇だと教えられる。
真相を知るべく、清盛は忠盛は母・泰子(小暮美千代)を問い詰めるのだが――という話。
感想
出だしから重厚感が凄い。
平安京の市のつくりの素晴らしいこと。
今じゃこんなんできんわなあ。
要は清盛の成長物語なわけで、平家物語3部作の1発目。
しかし、その後の映像化は主人公も違うしそのままでいけばねえ。
時信の屋敷に奉公している一人が若き日の中村玉緒さん。
「はい」しか言わないが顔見りゃすぐにわかる。そういうのも大事。
ラストの延暦寺の僧兵の群衆シーンがこれまた凄い。
やっぱり映画いうのはこうでないとあかんわねえ。
テレビではありえない画を撮るのが映画だわな。
松竹からも東映からも人を集め映画を作る。
またこの天然色カラーの画がいいんだなあ。
しかしこれ、現代に当てはめてみれば藤原一族が官僚。
僧兵たちが税金逃れて好き勝手している連中。
ある意味思いきり権力批判の映画ですな。
しかし、権力を批判して上り詰めた清盛が
「おごる平家は久しからず」なんて言われる羽目になるのだから。
結局誰が上に立っても変わらんのかもしれませんな。
たぶんヒットしたのってそのあたりのロマンもあるんだろうけど。
ま、それでもロマンのある作品を書いていきたいもんだ。