1974年の松竹映画。橋本プロダクション第1回作品。
映画化が企画され脚本の第1稿ができてから14年。
実現に近づきながらその都度挫折し、脚本家橋本忍が
自分のプロダクションを作りついに製作にこぎつけた執念の映画。
14年間キャスティングが変わらなかったのは加藤嘉だけと言われる。
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あらすじ
東京国鉄蒲田操車場内で起きた殺人事件。
容易に被害者の身元が割れず、捜査は難航。
警視庁刑事・今西(丹波哲郎)と蒲田署刑事・吉村(森田健作)らの聞き込みで、
同夜、蒲田駅前のトリスバーで被害者と会っていた男が浮かび上がる。
バーのホステスの話では2人の会話の中に東北なまりの「カメダ」という言葉が。
東北各県の亀田姓の調査、東北線の「羽後亀田」――。
だが、それらの捜査はいずれも空振りに終わる。
そして捜査本部は解散。みじめな敗北だった。
その頃、夜行列車から一人の美しい女が白い紙吹雪を窓から散らしていた。
その女・理恵子(島田陽子)を「紙吹雪の女」と題した紀行文を
新聞で読んだ吉村は銀座のクラブに彼女を訪ねる。
顔色を変え姿を消す理恵子。吉村はそこで東北線で目を引いた
作曲家の和賀英良(加藤剛)に出会う――。
今西と吉村の執念の捜査によって掴んだ真実とは――という話。
感想
映画のテーマは「宿命」だが製作陣の執念というか
完成に至るまでの過程そのものが宿命といえるすさまじいもの。
幾度となくリバイバル上映もされていて
確か梅田の松竹会館で観たけど、普通の上映作品より入っていた。
劇場で観るとロケハン1万7千キロによって選ばれ
1年がかりで撮影された日本の四季の素晴らしさと怖さ、
クライマックスの演奏の凄さが堪能できる。
小説ではできない映画ならではの、映画だけに与えられた表現力。
原作ではわずか数行に過ぎない親子の旅を膨らませた脚本の力。
何度かテレビドラマ化されているが、映画には勝てん。
こんな映画を作りたい。