1972年公開の日本映画。
「寅さん」の渥美清が自ら企画・主演した作品。
監督は今井正、共演は田中邦衛、小川真由美、市原悦子など豪華。
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あらすじ
戦争で全滅した部隊の中、病院に入院していたおかげで
ただ一人生き残れた男、西山(渥美清)。
戦友の遺書を抱いて帰還した彼は、長い年月をかけて
全国に散らばる戦友12名の遺書を配達していく――という話。
感想
最初に観た時から大好きな作品。
渥美清の名演と今井正のいいところが出た傑作。
原作は有馬頼義の「遺書配達人」。
エピソードが多かったかもしれないと監督本人は語っているが
一つ一つ描きすぎるとかえって嘘くさくなるし
これでよかったのではないかと思う。
日本各地のロケも見ものだし、小室等さんの音楽がいい。
遺書の内容も一辺倒ではないし、残された家族や恋人たちの
戦争で狂わされたそれぞれの生きざま、人間模様が描かれている。
遺書を持って行っても相手が喜んでくれるとは限らない。
生活や人生を変えている人も多く、迷惑がられたりもする。
「遺書を持ってきたお前は加害者だ!」なんて言われた日には
たまったもんではない。
しかし、それでも彼は黙々と遺書を配達し続ける。
「そんなことをしても仕方がないだろう」と言われながら。
これぞ男の美学。
余韻が長く残るラストも秀逸の出来栄え。
こういう映画が作りたい。