1974年公開の日本映画。
金融界の聖域である銀行、
背後で暗躍する政財界の黒い欲望を暴いた社会派映画。
レッドパージで撮影所を追われた山本監督が、
25年ぶりに東宝撮影所に復帰し手掛けた大作。
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あらすじ
志摩半島を一望できる観光ホテルのダイニング・ルーム。
華やかな正月を迎える人々の中でもひと際輝く人たちがいた。
関西の財界にこの人ありと知られた阪神銀行頭取、
万俵大介(佐分利信)とその家族たちである。
金融再編成のニュースがマスコミをにぎわせる中、
大介の心中は穏やかではない。
彼は預金順位第10位の阪神銀行を有利な条件で
他行と合併させようと長女・一子(香川京子)の夫、
大蔵省主計局次長である美馬(田宮二郎)から極秘情報を聞き出す。
こうした子供を使った閨閥づくりを進めているのは
万俵家のすべての実権を握る高須相子(京マチ子)である。
しかも彼は大介の愛人として、妻の寧子(月丘夢路)と
一日交代、時には一緒にベッドを共にしていた。
長男・鉄平(仲代達矢)は万俵コンツェルンの
一翼を担う阪神特殊鋼の専務だが、大介は彼に冷たかった。
大介は彼の父敬介に容貌も性格も似た鉄平は
寧子が嫁いで間もないころ、敬介に犯されたからだと信じて疑わない。
大介の鉄平への融資は希望額には届かなかった。
自社の高炉建設で飛躍的な成長を図ろうとする鉄平は
大同銀行の三雲頭取(二谷英明)の計らいと
妻・早苗(山本陽子)の父で自由党の大物・大川一郎(河村弘二)の
口利きで資金を確保し、念願の高炉建設に着手する。
しかし、突然高炉が爆発、死傷者多数という大惨事が。
さらに大介の融資は見せかけ融資ということがわかり、
多額の負債を抱えた阪神特殊鋼は会社更生法の適用を受けざるを得なかった。
妻子を実家に帰した鉄平は、雪山で壮烈な自殺を遂げる。
皮肉にも死んだ鉄平の血液型から父親が判明する。
彼はやはり大介の子供だったのだ。
そんな家庭環境に嫌気がさした次女の二子(酒井和歌子)は
相子が進めた総理の甥との婚約を自ら破棄して、
アメリカにいる恋人・一之瀬(北大路欣也)のもとに走る。
大介の筋書き通り、阪神銀行は上位に位置する
大同銀行の吸収合併に成功し、業界ランク第5位の東洋銀行が誕生する。
しかし、その裏で第二幕が進行していることは大介も知らなかった――。
感想
豪華キャストによる大作映画。
後にTBSで連ドラ化され、話題を呼ぶが
キャスティングの豪華さなら映画版の方が上だろう。
テレビで大介を演じた北大路欣也が
映画では一之瀬を演じているのも興味深い点。
どだい大介役には向いとらんのよね。
ま、佐分利信は日本のゴッドファーザー的な役が似合う。
白眉と言えるのがひたすらいいなりになってた月丘夢路が
大介に別れを切り出されごねる京マチ子に対してサラリとかます一言。
「あなたも子供を作っておけばよかったのに」
本妻の意地、ここにあり。女は怖い。