1960年公開の東宝映画。
原作は松本清張の短編「証言」。
監督は堀川弘通、脚本は橋本忍。
出演は小林桂樹、原知佐子、西村晃など。
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あらすじと感想
真面目で平凡なサラリーマンが似合う小林桂樹。
しかしちゃっかり同じ課の若い事務員、原知佐子と浮気。
いつものように彼女のアパートを訪ねると、
帰り道に自宅の近所に住む保険外交員とすれ違い、つい挨拶をしてしまう。
外交員の口から浮気がばれるのではと戦々恐々の桂樹さん。
ところがその外交員が殺人事件の容疑者として逮捕されてしまう。
数日後、桂樹さんは西村晃刑事に訪問される。
決して印籠を見せられたわけではない。
外交員とすれ違った時刻を証言すれば外交員のアリバイは成立。
晴れて無罪となるわけだが、桂樹さんは自分の浮気がばれるのが怖い。
そういうわけで裁判で証言台に立っても嘘をつく。
やがて浮気相手の知佐子に縁談が。
桂樹さんはこれ幸いとばかり関係を清算しようとする。
ところが知佐子のアパートに住む大学生に気付かれ脅迫される。
わが身大切、仕方なく大学生に金を払いに行く。
しかし、アパートで発見したのは血まみれの大学生の死体。
今度は桂樹さん自身が逮捕される羽目に。
無実を晴らそうと実は外交員とすれ違った真実から語りだす。
小心者でどうしようもない男。
結局真犯人が逮捕され、釈放される桂樹さんだが
仕事も家庭も何もかも失ってしまう。
因果応報を絵にかいたような傑作映画。
この映画の場合は後半が原作と全然異なり、オリジナル色が強い。
原作は愛人に男がいて、その男が真実を漏らしたために
サラリーマンは偽証罪に問われ話は終わる。
ラストシーンのトボトボ歩いていく感じが何とも言えない余韻がある。
何回か映像化されており、以前書いた「証言」もその一つ。
これも後半は原作とも映画とも違う。
それぞれに味があるが、なんせ失ったものは元に戻らんのよね。
馬鹿正直に生きることがいいというわけではないけど、
YESとNOを間違ってはいけないという場面は誰にでもあるわな。