木枯し紋次郎の光文社時代小説文庫第2弾。「女人講の闇を裂く」「一里塚に風を断つ」「川留めの水は濁った」「大江戸の夜を走れ」「土煙に絵馬が舞う」の計5編を収録。紋次郎が渡世人となった事情が語られるのが「女人講の闇を裂く」と「川留めの水は濁った」。貧しい農家の6番目に生まれた紋次郎。生まれた直後に間引きされかかるが、姉のお光の機転によって命を救われる。そのことを後から知った紋次郎は無口な少年に。(そり
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光文社時代小説文庫から以前出ていたシリーズもの。記念すべき木枯し紋次郎初登場作「赦免花は散った」から「流れ舟は帰らず」「湯煙に月は砕けた」「童唄を雨に流せ」「水神祭に死を呼んだ」の計5編を収録。最近「時代劇本格ミステリ」というのが流行りつつあるらしいが木枯し紋次郎なんかはその先駆けともいえるのでは。なんせ著者の笹沢左保さんはもともと本格ミステリのお方。時代小説にどんでん返しを持ち込んだ功績はとてつ
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平成元年出版の傑作時代小説。主人公は戦国末期の時代を生き抜いた前田慶次郎。マンガや舞台にもなり前田慶次郎=傾奇者のイメージが付いた。あらすじ時は戦国末期。天下の傾奇者として名をはせた前田慶次郎。剛毅ないくさ人でもあり風流を愛した人でもあった。自由を愛し奔放苛烈に時代を生きた男の生きざまとは――という話。感想久々に読んだがやっぱり面白すぎる。もともと最初読んだ時はドラマの企画書を書く目的だったのだが
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第17回日本推理作家協会賞受賞作。1979、1991、2007と3回テレビドラマ化。悪徳警官を描き警察小説のはしりとなった名作。あらすじ裏社会と癒着が指摘されていた徳持刑事。その理由は幼馴染がヤクザの幹部になっていたからだった。ある日、徳持刑事が失踪。翌日に死体となって発見される。疑惑の同僚の死にやりきれない思いの安田達刑事はもやもやを振り切るように捜査に没頭。ついに幹部の関口を見つけ逮捕にこぎつ
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1965年出版の長編ハードボイルド。真木シリーズの第1弾にあたる。日本のハードボイルドの嚆矢とも言える作品。1983年に火曜サスペンス劇場で山本陽子・髙橋悦史主演で映像化。あらすじ元刑事で私立探偵の真木。ある日、資産家の磯村から孫娘の捜索を依頼される。劇団の研究生だった乃里子の行方を追う真木の前に、次々と新しい事実が明らかにされ、そして殺人が――という話。感想読み返すたびに面白くなる味のある作品。
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第39回江戸川乱歩賞受賞作。女流ハードボイルド作家の誕生が話題を呼んだ。あらすじ親友のノンフィクションライター・燿子が一億円を持って失踪。その金は警察に届けることのできない金だった。大金を預けたのは成瀬。暴力団に繋がる中古車ディーラー。とばっちりを受けた村野ミロは一週間以内に成瀬と一億円と燿子を探し出さなければ東京湾に浮かぶハメに。燿子はベルリンのレポートでライターとして浮かび上がろうとしていた。
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1985年に光文社から出た「地獄の辰・無残捕物控――首なし地蔵は語らず」の改題作品。収録作品は「首なし地蔵は語らず」「夜鷹が水を欲しがった」「縁切寺で女は死んだ」「水茶屋の闇を突く」「半鐘が赤い雪に鳴る」「瓦版に娘が欠けた」「賽は知っていた」の7編。ストーリー全体についてはこちらを参照。ま、とにかくアナーキーである。救いのない話が巻き起こる。「夜鷹が水を欲しがった」なんかは本格推理としても優れモノ
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2007年出版の文庫本。「虚空に賭けた賽一つ」「駈入寺に道は果てた」「鬼が一匹関わった」「流れ舟は帰らず」「雪燈籠に血が燃えた」の計5編を収録。一応全部映像化されてる。「虚空に賭けた賽一つ」が新・木枯し紋次郎第24話。ゲストが弓恵子、橋本功など。「駈入寺に道は果てた」第2シーズン11話。ゲストが江夏夕子、織本順吉、浜田寅彦など。「鬼が一匹関わった」新・木枯し紋次郎第22話。ゲストが原口剛、泉晶子、
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初出は「小説宝石」1974年2月号から9回にわたり連載。その時は「地獄の辰・無頼控」で翌年「東海道・無頼旅 地獄の辰シリーズ」として出版。「地獄の辰 無残捕物控」の続編。あらすじ将来を誓った女・お玉と自分をこき使った同心・磯貝源之進に裏切られた男、人呼んで「地獄の辰」こと江戸・深川の岡っ引き・辰造。彼は十手を捨て、気ままな湯治場巡りをしていた。そこにかつての手下、留三郎と銀太が現れる。2人は御目付
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1972年出版の作品。国定忠治を悪役に仕立てるというそれまでの股旅ものの常識を覆した傑作。あらすじ渡世人から足を洗い恋女房のお絹と幸せに暮らしていた御子神の丈吉。一人息子も生まれ、ますます喜びに沸いていた。しかしその幸せは長く続かなかった。穏やかな日々はある日突然打ち砕かれた。国定忠治の舎弟・長五郎らに留守を襲われお絹は散々に弄ばれ赤子と共に惨殺された。指を潰されてまで丈吉が守ろうとしたものが――
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