西村京太郎256「伊豆誘拐行」を読む

1997年出版の作品。
1998年に土曜ワイド劇場、2014年にTBSで映像化。

あらすじ

人気女優の桂アヤが誘拐された。
青い蛇と名乗る犯人は身代金1億円を要求。
十津川警部たちが張り込むものの、身代金は奪われ人質も帰らない。
犯人は「伊豆長岡へ行け」との謎のメッセージを残す。

十津川警部たちは伊豆に行き、3年前に起きた交通事故との関連を知る。
ところが突如、桂アヤは記者会見を行い誘拐事件はなかったことになる。
事務所社長も口をつぐむ中、十津川たちは捜査本部を設けず事件を追う。
そこに似たような誘拐事件が発生し、背後に誘拐団の存在が――という展開。


感想

まあ必殺仕事人の誘拐団バージョンがいるみたいな話。
土曜ワイドの方はまあまあ原作に忠実。
映像化の特性として早めに犯人というか登場人物を出しているのはご愛敬。
一方、TBSバージョンは誘拐団の名前が「青い蛇」ではなく「イシス」。
なんのこっちゃという話だが、イシスとはエジプト神話で死者を再生に導く守護神らしい。
まあそれはそれで意味があってええか。
原作にはいない事件を探る女性ジャーナリスト役に古手川祐子。
こういう変更っているのかなあ。

原作のラスト。
誘拐団を送検した後、十津川が亀井に告げる。
「連中がうらやましいと思うことがある」と。
亀井は警部がそんなこと言っては困るというのだが十津川はさらに続ける。

「それはわかっているけど、正義を行うより悪を行うほうが魅力的なのはなぜなんだろう」

この後の亀井の言葉がいい。

「正義にはさまざまな制約があるが、悪には何の制約もないからですよ」

制約の数が多いほど、正義なんです。いいセリフだ。

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