1991年初出の作品。映像化はまだなし。
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あらすじ
元スコットランドヤードの敏腕警部で
今は人気ミステリ作家のビクトリア・ヘイズが
妻を伴って来日することになった。
ヘイズの妻、信子は十津川の元部下。
日本人的な顔立ちに似合わず気の強さを始め
日本人離れしたハートの強さが魅力の女性だった。
ところが、警視庁にヘイズ夫妻の殺害予告が届く。
しかもその組織名はヘイズのヒット作に出てくる
テロ組織WRP日本支部を名乗っていた。
面白半分の嫌がらせか、本気の脅迫か。
当のヘイズは警告を無視して来日する。
しかも、かつての職場の後輩ヘンドリックスを伴って。
国民性の違いに戸惑いながら
十津川達はヘイズ夫妻を警護する。
だが、長崎へ向かう特急「さくら」の車中で
信子夫人が誘拐されてしまう。
身代金を要求してくるテロ組織に対して
長崎駅を舞台に壮絶なバトルが始まりそして……
十津川がイギリスに渡り掴んだ真実とは?――という話。
感想
初出のカッパ・ノベルスの著者のことばには
「長崎」と「ナガサキ」の違いを書きたかったとある。
この言葉が作品を読むと、なるほどと思う。
なんぼ26年前の作品といっても
この頃はバブルにまだ世間は浮かれている頃。
もっとも賢い人は崩壊の足音をいち早く聞いていたわけだが。
その頃でもまだまだ日本人の評価って
世界的にみれば低かったのよねえ。
今でもあんまり変わってないかも。
だってテニスの錦織選手に対する観客の
反応とか見てたらまだまだかなと。
しかし、信子の描写ってかなり薄い。
元部下ならなんか言葉交わすとか
もっとあっていい気もするんだけど。
あと終わり方はこれでいいのか。
まあこれ以上するわけにもいかんかもしれんが。
グローバル化がいろんな分野で語られる中で
日本人というかアジアって低く見られてんのね
と自覚させてくれる作品。
読み終えた後の余韻がやるせなく深い。