1994年初出の作品。
映像化はまだなし。
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北緯43度に位置する都市といえば
札幌となんとドイツのミュンヘン。
札幌とミュンヘンが同じ緯度にあんのかよ
という話なのだが、その札幌からの
死の予告の手紙が事件の発端となる。
しかも1通だけでなく5通&新聞の切り抜き。
しかもその手紙を送ったと思われる
人物は何者かによってひき逃げで殺されており
ご丁寧にその彼女が切り抜きを同封したようだ。
十津川警部達は手紙に書かれていた
殺害予告をされた「青柳みゆき」をガードするが
あえなく彼女は殺人予告日の直後に
ボウガンの矢で殺害される。
彼女が取材で訪れた札幌のすし屋の
夫婦も変死体で発見され、謎は深まるばかり。
札幌と東京、二つの事件を結ぶものとは何なのか。
カギは青柳みゆきが友達に託した謎のメモ。
イニシャルはあるが判明したのは5億円の数字だけ。
そして、事件は意外な展開を見せる。
政界再編に関わるある代議士の一人娘が
誘拐されたようなのだ。
5億円は身代金に違いないとふんだ
十津川達は気づかれないように捜査するが
身代金は奪われてしまう。
事件の背景にあったのは代議士が
北海道開発長官時代に起こしたある出来事だった――。
奇妙な手紙の目的は犯人側が
警察に青柳みゆきを見つけ出させることだった、
という点が冒頭の面白さ。
札幌と東京の事件の結びつけは
結構強引な気もするが
犯罪者の心理というのはそういうもんかもしれない。
自分が悪いことをしたわけではない、
という犯人の一人の考え方も怖い。
しかし、故郷に錦を飾りたいという思いを
利用した代議士が一番悪いのだが。
「作者のことば」によれば
北で一つ殺人があって、東京で二つ目というのは
平凡なので北で計画され東京で実行される
殺人事件を描きたかったようだ。