1967年の小説で第57回直木賞受賞作。
作者は大藪春彦達と共に日本のハードボイルドの礎を築いた生島治郎。
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あらすじ
暴力団幹部を追跡中に同僚刑事を誤射し
警察を辞めることになった志田司郎。
きっかけになったのは海運会社重役の義父が暴力団に脅されたことだったが、
義父は非情にも志田に妻と娘と別れるよう勧める。
しかし刑事を辞めても志田の浜内組追求は止まらなかった。
孤独に耐えながら暴力団壊滅に向けて
一歩ずつ歩んでいく志田に未来は果たしてあるのか。
そしてもともとの事件に隠された真実とは?–という話。
感想
和製ハードボイルドの元祖の1つとしてあまりにも有名な作品。
単純と言えば単純なのだが
そもそもハードボイルド小説というのは
主人公にどれだけ同化することができるかが大切なのだ。
明らかにどこの暴力団組織かわかってしまうのだけど
よくまあこの時代に書けたものだと感心する。
だから直木賞受賞作なんだろうけど。
また組織と個人の関係について
普遍的に横たわっている問題に対してもわかりやすい形で提示されており
「そうだそうだ」と合いの手を入れたい気持ちになる。
温故知新と言うが読んでおいてよかったと思えた一冊。