ピカレスクロマン小説・西村寿行「風紋の街」を読む

初出は1985年角川文庫。

登場人物の名前が凄い。
鉈割瓢(なたわりひさご)と斧割糺(おのわりただす)。

とてもじゃないが思いつかないこんな名前。

二人とも元寇を蹴散らし倭寇となって暴れまわった松浦水軍の末裔らしいのだが、
その血はどこに引き継がれてるのか。女好きでドジなコンビでしかない。

刑事だった糺はヤクザの罠にはまり瓢を巻き込んで
でっちあげのレイプ事件で3年服役してきたばかり。

職を失った二人は無人島でさもしい暮らしを余儀なくされる。

瓢は糺を分家と呼び、糺は瓢を本家と呼ぶ。
お互いの名前では呼び合わない。

二人はこんな暮らしをする羽目になったきっかけの女に復讐しようとするが、
ヤクザに後を付けられ返り討ちに。

刑事のくせに後をつけられてるのに気づかんのか!ってそりゃ言いたくもなるわな。

ドジで哀れな二人。

さてここからの発想がとんでもない方向に向かう。
なんと人妻を拉致して無人島でヤリまくりの日々。

パラダイス!と思いきや女の性欲が勝りヘロヘロ状態に。

なんじゃそりゃ。

弁護士を連れて夫に怒鳴り込まれどっちかと結婚しろという話になったかと思えば、
夫の姉の娘をヤクザから助け出してきたら許してやるというエライ展開に。

シャブの運び屋となり廃人と化している娘。

番犬のドーベルマン2頭をてなづけるのに使った手がなんと犬にカマ掘らせること。

文字通り身体を張って娘救い出したと思いきや
無人島に戻って3人でヤリまくり生活リターンズ。

ヤクザが島に襲ってきたら櫓立てて徹底抗戦。

さすが松浦水軍の末裔。
組長が登場しなぜか和解。
犬探し出してきたら許してやる。

へ?

これには裏があり犬の飼い主は大富豪の老女だった。
恩着せて財産そっくり奪うつもりのヤクザだったが
なぜだか知らんが老女は2人を気に入り縁組手続きを。
野犬の群れを巻き込んでの凄惨なバトルへ突入する。

いやはやとんでもない小説である。

主人公の二人に感情移入するわけでもないが
嫌悪感を抱くわけでもない不思議な感覚。
3P礼賛小説と言えなくもない。
ま、人間の性なんてよくわからんもんだ。

生ぬるい小説なんて飽き飽きしたわという人にはおススメ。

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