千草検事シリーズ最終作・土屋隆夫「不安な産声」を久々に読む

1991年刊行の千草検事シリーズ最終作。
1997年に渡哲也主演で土曜ワイド劇場でテレビドラマ化された。

あらすじ

大手薬品メーカー社長・大原の家の庭で、
お手伝いの恩田糸子が何者かに強姦され首を絞められ殺された。

容疑者として浮上したのは医大の主任教授・久保。
日本産婦人科学会常任理事で地位も名誉もある久保が
なぜこのような犯行に及んだのか。

アリバイがあって殺害動機もなく証拠もない。
しかし久保は犯行を認めて譲らない。
動機をいくら聞かれても話そうとしないのに、だ。

取り調べにあたった千草検事は何とかその動機を解明しようとするのだが――という話。


感想

倒叙法と手記形式でありながら
本格ミステリという技法が楽しめる本作。
ま、結構好みが分かれる作りではあるけれど。

なんせ千草検事が出てくるのが第3章からだから。
出てくるというか視点で語られるのがってことだけど。

1997年のドラマは観ていないけれど、
特殊な作りをどのようにドラマ化しているのか注目。

人工授精に目を付けているところもいいですな。
これ、かえって現代の方が合うんじゃないかねえ。
終盤もう一つひっくり返すところが何とも。
犯人アホちゃうかと思わんでもないけど、
同じ立場にたたされりゃそう考えるわなあ。

この形式なんか横山秀夫さんの「半落ち」とかに
影響あったんかなあ、わからんけど。

土屋隆夫、結城昌治、藤原伊織のお三方は
永遠に自分の指標になっていくなあとあらためて思った一冊。

記事作成・ライティングに関するお問い合わせ・ご相談

コピーライター育成オンラインアカデミー

最近の投稿

テーマ別

ページトップに戻る