乱歩賞作家・斎藤栄「赤富士殺人事件」を読む

1972年出版の短編集。
表題作のほか、「梵鐘の犯罪」「三人のミス・ミナト」「夜の炎」
「市長の似顔絵」「三つの悪い芽」「猿とマリファナ」の計7編を収録。

あらすじ

「赤富士殺人事件」は推理作家の私が、
画伯に会いに行ったところ、刺殺死体となった画伯を発見。

アトリエにあった制作中の大作はずたずたに引き裂かれていた。
職業柄、事件に首を突っ込んだ私は画伯夫妻にそれぞれ愛人がいたことを掴む。

両者とも鉄壁のアリバイがある中、犯人はどちらなのか、それとも――という話。

1990年にフジテレビで1時間番組としてドラマ化。
出演は岡江久美子、勝野洋、大場久美子など。
観てないからわからないけど、夫人、私、愛人って組み合わせなんだろな。

「梵鐘の犯罪」は刑事が入院中の友人を見舞ったところ、
幼い女の子が釣鐘に飲み込まれてしまった事件を窓から目撃。

慌てて駆け付けてみたが子どもは窒息死。
しかし、事件を疑問に思った刑事は――という話。

これもアリバイトリック絡みで、なかなか面白い。

「三人のミス・ミナト」はお役所ミステリというか。
ミス・ミナトが一日市長、準ミスの二人が一日助役を務める日、
三人が休憩していた部屋に置いていた書類が紛失。

中身は庁舎建設の設計予算に関わるもので、
準ミスの一人が殺害される中、犯人はいったい何者か――という話。

設定がなかなかイケてる。ミステリ度はまあまあかな。

「夜の炎」はダイイングメッセージの話。
「市長の似顔絵」は市長のファンと称する若い画家が失踪する話。

「三つの悪い芽」は連続殺人が巻き起こる。
麻薬・密輸・売春とタイトル通り三つの悪い芽が摘み取られていくのだが、
その原点となった事故を目撃した副検事が事件を明らかにしていく――という話。

これは密度が濃く、結構面白い。
犯人の意外だけど必然ともいえる動機、ラストのセリフが印象深い。

「猿とマリファナ」はマトリが主人公のサスペンスアクション。
キレがよくて、これもなかなか面白い。割と好みの話。

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