1961年初版の本格推理小説。
1961・1977・2005年と3回テレビドラマ化。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
あらすじ
傷害致死で服役し、仮釈放された男が殺された。
殺害現場は従姉妹のピアノ教師の家。
ちょうど上田署の木曽刑事が妻・杉子と
一人娘のクミ子を通わすか通わさないかで
今朝言い争いしたばかりの音楽教室だった。
しかも殺されたのは木曽が上田署に転勤して
初めて捕まえた男・須賀で従姉妹の木崎江津子が真っ先に疑われた。
江津子は未亡人で木曽と同じぐらいの娘・加代子がいる。
容疑者は江津子しかおらず、簡単な事件と思われたが凶器は見つからない。
さらに自分が犯人だと名乗る投書が次々と届き、
ついには犯行に使用したナイフまで声明通りに見つかる。
江津子は本当に犯人ではないのか。
木曽は事件を追うが、その都度高い壁にぶつかってしまう。
木曽を始めとした上田署の刑事たちは事件を解決できるのか――という話。
感想
何回読んでも見事としか言いようがない。
なんちゅうてもそれまでどころか今日においても色褪せない画期的な部分。
まず容疑者が二人いてどちらが犯人かというミステリではなく、
容疑者が一人しかいないのに犯人捜しの魅力に満ち溢れている点。
これは本当に難しいと思うのだけれど、終盤までわからない。
やっぱりこういう一つ解決したと思えば、次また高い壁っていう
本格推理ものってのは読む方にはたまらんわね。
それから通常、アリバイというのは主に犯行時のものだけれど
犯行後のアリバイが問題になるってこと。
これが凶器は見つからないし、凶器を捨てる時間すら
容疑者にはなかったというところな部分。
松本清張に始まる社会派推理小説の時代に咲いた
本当に凝った本格推理小説の綺麗な花って感じ。
またこの童話がホントに「危険な童話」になっている。
ドラマ化は3回あってなかなか観れそうもないのもある。
ヒロインだけで言えば池内淳子、大原麗子、とよた真帆。
イメージで一番合うのは大原麗子かなあ。
まだ90分時代の土曜ワイド劇場で映像化されてる。
これ観てみたいなあ。