1970年初版の推理小説。
第15回江戸川乱歩賞最終候補作。
受賞した森村誠一「高層の死角」と最後まで争い惜しくも受賞は逃したが、
埋もれさせるには忍びないということで異例の刊行となった伝説の名作。
1973、1978、1982、2010年と4回テレビドラマ化されている。
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あらすじ
「婦人文化」記者の砂見亜紀子。
彼女は福岡県のさまざまな分野で活躍する女性の取材を続けていた。
ある日、小児心臓病を専門とする女医の取材で病院を訪れた際、
手術予定の赤ちゃん・神崎ゆみ子と出会う。
ゆみ子の笑顔に惹かれた亜紀子は記事にする。
その影響で手術の寄付を申し出る男が現れ、ゆみ子は無事に手術できた。
手術当日、ゆみ子が気がかりで病院を訪れた亜紀子は
母親・神崎志保の姿を探すがどこにもない。
家を訪れようやく志保と初対面するも、
冷たくあしらわれ亜紀子はゆみ子の行く末に不安を覚える。
その頃、ホテルで宿泊客の男が絞殺される事件が発生。
さらにホテル経営者が青酸カリの入った牛乳を飲んで変死。
博多署の巽捜査一課警部補は事件を追う。
そして志保が謎の死を遂げた。果たして自殺か他殺か。
亜紀子と巽、本来なら交わらないはずの人物が交差した時、
真犯人は暴かれ逮捕される。そしてもう一つ意外な真実が――という話。
感想
これはもうラストシーンが感動としか言いようがない。
落としどころが素晴らしいというか。
正直最初の二つの殺人事件はどうということはない。
どうということはないというと変な話かもしれんけど。
亜紀子と巽の行動が変わりばんこで描かれるところも
まあ人によっては好みが分かれるかもしれない。
しかしそういうところをすっ飛ばしても
このラストは燦然と輝くだけの価値はある。
4回のテレビドラマ化作品があるが、
1973年版は亜紀子が日色ともゑ、志保が太地喜和子。
イメージ湧くなあ、観たいなあ。DVD化せえへんかなあ。
1978年版は土曜ワイド劇場。
女弁護士・朝吹里矢子シリーズの中で描かれている。
十朱幸代と鶴田浩二が師弟関係のやつね。
1982年版は木曜ゴールデンドラマ。
亜紀子が和泉雅子、志保が秋吉久美子。
これまたイメージ湧くなあ、ぜひ観てみたい。
2010年版は土曜ワイド劇場。
亜紀子が賀来千香子、志保が京野ことみ。巽が西郷輝彦。
うーん…まあ観てみないとわからない。
何にしろ、全部観れるようになればいいのにねえ。