1972年出版の書下ろし長編。
翌年、第26回日本推理作家協会賞を受賞。
テレビドラマ化は意外と少なく、
1986年フジ系列「金曜女のドラマスペシャル」の1回のみ。
主演は市毛良枝、名高達郎。他に中尾彬、矢崎滋など。
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あらすじ
札幌へ向かう旅客機の中から女性が忽然と消えた。
幽霊騒ぎとなったこの事件で疾走したのは人妻・浅岡美那子。
ベトナムで死亡が報じられながら奇跡的に生き残り帰国した
「日本ジャーナル新聞」の記者・冬木吾郎は彼女と深い中にあった。
美那子の失踪の謎を解こうと懸命に走る冬木だが、
それをあざ笑うかのように美那子の周囲で巻き起こる連続殺人事件。
やっとの思いで冬木がたどり着いた真実とは――という話。
感想
うまい。終盤「あっ」と言わせてくれる展開が素晴らしい。
冬木と福岡で起きた殺人事件の捜査陣との動きが並行して描かれていく。
本来、こういう構成ってあんまり好きではない。
せっかく主人公の気持ちで読み進めているのに中座されるように感じるからだ。
しかし、それを補ってあまりある上手さがある。
ウーマンリブの話が出てきたり、愛と母性に関するテーマがそこにはある。
「親は無くとも子は育つ」時代から「親があっても子は育つ」時代に。
40年以上前に書かれた作品なのに、今なお中心テーマは斬新で今日的。
やっぱり古くていいものは常に新しい。
ドラマは観てないからわからないけど、
あらすじを読む限りでは設定を結構変えている模様。
この作品の設定が妙なんだけどなあ。
そこを変えてどうすんのって感じ。ネタがぺしゃんこになるわいな。
細かい部分の一つ一つで大きく差ができちゃうのよねえ。