長編天使シリーズ・三好徹「汚れた海」を読む

1971年出版の作品。
「天使」シリーズの「私」が主人公。
殺人犯の汚名を着せられた新聞記者が
限られた時間の中で、暗躍する組織に挑む話。

あらすじ

当直明けの事件記者「私」はいきつけの喫茶店で
ある競馬レースが荒れることを吹聴する奇妙な男と出会う。

競馬仲間のマスターに誘われ、
競馬場に向かう私だが、そのレースに賭ける気にはならない。

そんな時、美しい女にレースについて尋ねられ
女についつい荒れるレースがあることを教えてやる。

女はそのレースに5万円を賭け170万をゲット。
お礼がしたいという女をほっとくわけにもいかず、
夜まで一緒に過ごしついにはマンションで寝ることに。

しかし、その女が殺されたというニュースが支局に入り、
私は殺人犯として追われる羽目に。

殺された女は私が寝た女と違う別人だった。
港横浜を舞台に私は無実を自らの手で証明しようとするが、
証人は何者かに買収されていて更なる犠牲者が――という話。

感想

これは上手い。
途中、ちょっとダルイ部分があるものの
終盤のどんでん返しには見事に引っかかる。

そのあとの展開は読める部分もあるのだが、
ひっくり返し方がうまいだけにあまり気にならない。

また、そうしないと話が終わらないわけで。
公害企業と組織暴力団に立ち向かう事件記者というのが
1970年代という時代を感じさせてくれる。

伏線の張り方も素晴らしく、
終わり方も余韻が残り読ませてくれる作品。

天使シリーズの長編って他にないんかね。
あったら読みたいなあ。

記事作成・ライティングに関するお問い合わせ・ご相談

コピーライター育成オンラインアカデミー

最近の投稿

テーマ別

ページトップに戻る