1976年発表の長編小説。
最初のタイトルは「娘よ、涯なき地に我を誘え」。
1978年に菅原文太主演で映画化。
1978・1990・2002年と3度テレビドラマ化。
著者の代表作の一つである。
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あらすじ
造船技師・秋津の愛娘・良子が何者かに誘拐された。
偶然、殺人現場に良子が居合わせたことが原因だった。
妻の順子は錯乱し、とうとう精神病院に入院してしまう。
良子の行方を捜すため、秋津は会社を辞め
愛犬の「鉄」とともに全国をさまよい始める。
秋津の唯一の望みは良子の首にかけている「犬笛」だ。
良子が吹けば必ず「鉄」が反応してくれる。
また、聴力が優れている良子は、秋津が吹けば反応する。
執念で良子の行方を追う秋津に、黒い影が忍び寄る。
誘拐事件の裏に何が隠されているのか?
秋津と良子、そして「鉄」との再会はかなうのか――という話。
感想
途中まではこれまで読んだ著者の作品の中で最高の話。
傷つきながら良子の行方を追う秋津と鉄の姿、
そしてそれに共感し手助けする人々の心意気。
グライダーで逃がしてくれる浜田のセリフが素晴らしい。
「人間はね、時には何か変わったことをしないと、
錆びついてしまいますよ」
ところが、だんだん「?」となってくる。
なんやろねえ、秋津の魅力が乏しいというか。
むしろ極秘捜査している小西の比重が増すというか。
終わりの方なんか村田船長がかっこいいし。
「だれが血迷うとるのだ!」なんて男の美学すぎる。
こうなってくると肝心の秋津が
主人公としてどうなのかな?と思ってしまう。
やっぱり行く道きっちり行ってほしいのよね。
ま、行ってることは行ってんだけど。
後半がねえ、なんか惜しい感じ。
そのあたり、映画とかドラマでどうなってるのか。
機会があれば見比べてみたい。