2014年出版の短編集。
「だまし合い」「阿蘇の幻死行」「白い罠」
「鬼怒川心中事件」の計4編を収録。
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あらすじと感想
「だまし合い」は小説NON2014年2月号。
人材派遣会社社長の山際は、
自分のおかげで成功した銀座のクラブママ・あやが
次第に傲慢な態度を取り始めたのに怒り殺害を計画。
あやの自宅で青酸入りワインを仕込み死ぬのを待つが、
死んだのはあやの部屋に来た若いタレント。
しかし、警察はあやが彼を毒殺したものだと信じている様子。
計画が少々狂ったものの、あやを刑務所に葬れば
自分の想いは活かされると踏んだ山際だったが――という話。
ま、なんちゅうか初っ端から悪女関係ないやん話。
久々に橋本くん登場なのだが、それミスリードまるわかり。
ちょっとねえ、という感じの短編。
「阿蘇の幻死行」はオール読物1999年8月号。
十津川警部の妻・直子またまた容疑者にされるの巻。
またかよおいおい、だが夫は頑張りますわな。
最後はめでたしめでたし。直子ってこんなキャラやったっけ。
「白い罠」は前にも読んだような。
「鬼怒川心中事件」は別冊小説宝石1993年爽秋特別号。
2016年に高嶋政伸主演の十津川警部シリーズ10でドラマ化。
小説誌の編集長、長谷川のもとに届いた原稿。
それは人気作家・平木のものと思われたが、
当の平木は自分の作品ではないと主張。
しかし、どこからどう見ても平木の作品と思われ、
長谷川らは平木のもとを訪れ掲載を要求するが
平木は頑として認めず掲載撤回を譲らない。
ところが次の日、平木の死体が晴海ふ頭で発見される。
死因は青酸入りのウイスキーを飲んだもの。
他殺か自殺か、意見はわかれる。
同じ日に鬼怒川で平木と関係のあったと思われる
若い女の腐乱死体が見つかる。
この奇妙な二つの事件は、
平木が書いたと思われる「鬼怒川心中事件」の
内容に酷似していた――果たして犯人は誰か?という話。
これは短編というより中編かな。
ドラマでは平木の死因が原作と異なる。
場所も鬼怒川から三浦半島に変更。
作品名も「半島心中」(笑)
そんなタイトルつけるやつおるか。
顧問弁護士とかも原作にはいないし。
出演陣は小沢真珠、井上晴美、馬渕英里何と結構好みだけど。
松本清張は悪女描くの上手だったけど、
西村京太郎はあんまり作品に出てきてないかもねえ。
そういう点では「鬼怒川心中事件」はザ・悪女ですな。