京都殺人案内シリーズ1の原作・山村美紗「花の棺」を久々に読む

1975年出版の作品。
名探偵キャサリンシリーズ第1弾?になるのかな。
1979年に土曜ワイド劇場でテレビドラマ化。
藤田まこと主演の京都殺人案内シリーズの
記念すべき第1弾となったのだが――。

あらすじ

日本の華道大好きおてんば娘、キャサリン。
彼女はアメリカ副大統領の令嬢なのだが、
この度京都を訪れるとあって外務大臣から
京都の家元連中までてんやわんや。

20歳の娘にものものしい警護をつけるわけにもゆかず、
さりとて何かあったら大変なことから、困った外務大臣は
甥の浜口一郎をエスコート役に任命する。

キャサリンと同じコロンビア大学に昨秋まで留学し、
語学力堪能な一郎はすぐに彼女と意気投合。

ところが、キャサリンが京都に来てから
日曜日ごとに次々と殺人事件が巻き起こる。

背後にあるのは家元各流派の熾烈な勢力争いか?
事件を担当するのは京都府警の狩谷警部。

密室の謎を解き、真犯人を暴くのは?――という話。


感想

ドラマにはドラマの良さ、原作には原作の良さがある。
まず、原作では浜口がキャサリンのエスコート役だが、
ドラマには一切出てこない。

狩谷警部が最初からキャサリンのボディーガードをする。
ま、これは普通ちゃ普通のことで、
そもそもある場面ではキャサリンと浜口が推理、
ある場面では狩谷警部が推理みたいなことをやってたら
2時間サスペンスは終わらない。

したがって、狩谷警部と浜口をドッキングさせるのは
不思議でも何でもない。
出演陣も沖雅也、藤岡重慶、いしだあゆみなどなかなか。

原作の良さでいえばキャサリンが密室の謎を解いたりとか、
名探偵ぶりを発揮するところに新しさがある。

現代ならいざ知らず、40年以上前に
こういう主人公像は新しかったと言える。

あと華道に対する問題意識とか、
そのあたりは原作の方が優れている気はする。

原作とテレビドラマを比較すると
まあ後半なんざまるで違ってくる。
シェリーが演じたキャサリンなんざ途中からどこ行った(笑)

柳ジョージとレイニーウッドの「ヘイ・ダーリン」は
好きな曲だけどこのドラマに合ってるかどうかは微妙なところ。
耳にはやたら残ってんだけど。

そりゃ原作者が怒り出すのも無理はないかも。

なんせ二度と原作は使わせないと言ったそうな。
そのせいか、たぶん今に至るまで朝日放送で
山村美紗の作品を映像化したことはその後ないはず。

ま、恨み骨髄とは恐ろしいもので
原作者は原作者で自分で書いてないとか
ボロクソに言われとるのだが。

単純に藤田まことが狩谷警部を演じたのが
気に入らなかったのかそのあたりは定かではない。

ま、このトラブルがなければ
和久峻三原作・音川音次郎としての
京都殺人案内シリーズもなかっただろうし。
ケガの功名?ってやつかもね。

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