1997年出版の取調室シリーズ第3弾。
同年に火曜サスペンス劇場でテレビドラマ化。
いかりや長介主演の第7弾の原作で、ゲストは萩原流行だった。
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あらすじ
佐賀県鳥栖駅で、女性警察官に保護された少女。
不思議なことに彼女は三カ月前にも同じ場所に立っていた。
その時は母親が迎えに来ていたが、今度は来ることがなかった。
なぜなら母親は無残にも鳥栖市内の寂しい場所で
焼き殺されていたからだった。
東京からなぜ幼い少女は二度も来ていたのか?
捜査の結果、警察は少女の父親の会社で働いていた男を逮捕。
のらりくらりと取り調べをかわす男に
落としの達人・水木警部補はどう立ち向かうのか――という話。
感想
数々の斬新なトリックを生み出してきた著者。
今回もいろんな趣向というか工夫を凝らしている。
まず誘拐事件でありながら誘拐事件でない設定の妙。
徐々に明らかになってくるがストーカー的な粘着質の
犯人は当時より今日性があるといえるのでは。
口調を変え犯人を追い詰めていく水木警部補の姿は
今は亡きいかりや長介氏の面影がダブってくる。
もっとも原作では水木警部補は45歳の設定なのだが。
しかし、著者もいかりや長介氏の演技はお気に入りだったようだ。
ドラマは観たと思うんだけど、記憶があいまい。
最後のところの真相に関してはそれほどの意外性はない。
まあ、そうだろうねえという感じなのだが、
そこまでの引っ張り方はさすがの職人技といえる。
技術って大事やね。