異色ミステリ・西村京太郎53「原子力船むつ消失事件」を読む

1981年出版のノンシリーズ。
タイトル通り原子力船が姿を消すという、
スケールの大きなサスペンス。

あらすじ

原子力船むつ開発事業団の秘書室長・藤木。
反対派が押し寄せる佐世保の地で、
友人の一等航海士・浅井が乗り込む原子力船むつの
出港を見送りホッとする。

ところが、順調に航海中だったはずの「むつ」が
新潟沖からの無線を最後に消息を絶ってしまう。

やがて、尖閣湾沖で大量の魚の死骸が発見される。
ひょっとすると海が放射能に汚染されてしまったのか?

その頃、釣りの取材で佐渡に来た週刊誌記者の純子と
カメラマンの原だったが街の異様な状況に気付く。

突然、休暇を指令された藤木は真相を追うため佐渡に。
そこで純子たちと知り合い、情報交換をするが
事件は日本海からアラブ海へと意外な展開を見せ始める――という話。


感想

面白いんだけど粗いと言えば粗いような。
特にいやいや、それはないだろという箇所がある。

何かといえば原の撮影した魚の死骸などのフィルムを
こともあろうに地元のDP屋に出すなんて。

しかもその写真の行方はその後一切出てこない。
どっか飛ばしたかなと思い、ページをバックしたぐらいだ。

さらに原は東京に戻り、福岡で謎の死を遂げてしまうのだ!
だったら地元で出さんととっとと東京で現像せんかい。
週刊誌記者である純子が特ダネ考えるなら、
何よりもその写真が大事であるはずなのに。

藤木の視点で行くのか、純子の方なのか配分も微妙。
面白いんだけど、なんか消化不良でもったいない作品。

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