西村京太郎114「マウンドの死」を読む

1986年出版の短編集。
表題作のほか、「裸の牙」「血に飢えた獣」
「二十三年目の夏」「バイヤー殺人事件」
「わが心のサンクチュアリ」の計6編を収録。

「裸の牙」は1978年の短編。
もっと古い作品かと思ったけど。

7年ぶりに弟から手紙が来たやくざの男。
一人前になった弟と会うのを楽しみにしていたが、
弟は死体となっていた。

弟が手に握りしめていた首無しの裸の女の写真から
弟殺しの犯人捜しを行うのだったが――という話。

結構好みの作品。
吉田拓郎の「人間なんて」がバックに流れるような。

「マウンドの死」は1964年の作品。

ふとしたことからプロ野球の二軍投手と知り合った女。
ところが、その日からとんとん拍子に投手は成長。
ついに日本シリーズの主戦投手にまでなってしまう。

女は婚約者として彼に尽くしてきたのだが、
当の投手は貿易会社の令嬢と結婚する気に。

婚約者は復讐にいつも渡していた飲み物に
下剤を混ぜて渡したが、日本シリーズのマウンドで
突如投手が心臓まひで死亡。

疑いが婚約者にかけられたが――という話。

ま、ミステリとしては正直どうということはない。
人間、世話になった人を捨てるとロクなことはないわな。
それも相手によるのかもしれんが。

「血に飢えた獣」は1977年の作品。
ストーカーを扱った先駆けみたいな話。
最後の部分が切れ味があって読後感がいい。
これも結構好みかな。

「二十三年目の夏」は1968年の作品。
戦時中のあるエピソードにまつわり、
仲間が集まるのだがそこで様々な意見の相違が――。

これもまた、印象深い作品。うまい。
最後そういう方向に来るのかあって感じ。
これは参考になる作品だなあと思う。

「バイヤー殺人事件」は1963年の作品。
読んで字のごとくバイヤーが殺され、
濡れ衣を着せられた男が真相を暴く話なのだが、
ただ単にそこで終わらせないのがいい点かな。

「わが心のサンクチュアリ」は1968年の作品。
スターだった女優の自分史を依頼されたライターの話。
これって誰かモデルがあるんかねえ。

結構これもラストが甘くなくて、いい感じ。

正直表題作が一番つまらない(笑)
なんでこれをタイトルにしてんのかねえ。

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