名短編集・西村京太郎43「一千万人誘拐計画」を読む

1979年出版の短編集。
表題作のほか、「受験地獄」「第二の標的」
「白い殉教者」「天国に近い死体」の計5編を収録。

「受験地獄」は社会派風刺ミステリー。
結末のどんでん返しもさることながら、アイデアが抜群。

1982年火曜サスペンス劇場、
2014年ヤングサスペンス企画と2度映像化。

1982年は太川陽介や倉田まり子、
2014年は三浦春馬、城田優、瀧本美織らが出演。

1982年版は火曜サスペンス劇場の中でも
人気が高いらしいが、そんなによかったかあれ、と思う。

「第二の標的」は十津川刑事が登場。
まだ警部ではない頃の事件である。若々しい。

おとり捜査をしてまんまと殺されてしまう。
犯人逮捕のために十津川刑事たちは――という話。

「一千万人誘拐計画」は「華麗なる誘拐」の原型のようなもの。
このアイデアはやっぱりうまいと思う。
解決方法もなるほど、という感じで名短編。

この作品の十津川警部は刑事コロンボみたいな感じ。
これたぶん、著者本人のイメージなんだろねえ。

「白い殉教者」は徳大寺京介シリーズの一つ。
そんなシリーズあったんかいなという感じだが。

雪に作られた密室の謎がからむ本格もの。
これ書き方が前田刑事の手紙風一人称で書いてるのが面白い。

「天国に近い死体」も同じく徳大寺京介シリーズ。
これはまあトリックに無理があるような気がせんでもない。

長編がうまい人は短編も上手い。

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