1979年出版の連作時代小説。
「女囚お葉初仕事」「奥御殿無残絵」「女けもの道」「お葉流れ花」
「黄金色の闇」「甲斐熊一件の始末」「かつがれた裸身」の計7編を収録。
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あらすじ
牢屋敷見廻り与力、町村半次郎。
誰からも怠け者と目され、とても真面目に務めているとはいえない人物。
しかし、ひとたび妾同様のお酉の家に入ると表情が変わる。
配下の同心、八木新助と熊野理右衛門を使い裏のありそうな事件をかぎつける。
そして悪事のしっぽを掴み、金を巻き上げる――。
それが半次郎たち通称「闇与力」の生き方だった。
ある日、牢内で一人の女が首を吊る。
自害に思われたが、半次郎は新入りの女囚・お葉に目をつける。
死亡したと見せかけ半次郎はお葉を女牢から引き取る。
半次郎はお葉を配下に組み入れ、事件の探索役を命ずる。
お葉はその艶やかな身体を前面に押し出し、
度胸満点の行動で悪事のからくりを暴いていくのだが――という話。
感想
独特の世界観を持った異色の捕物帖。
なにせ善人らしき人間が一人もいない(笑)
しいていえばお酉ぐらいのもんか。
悪が悪を裁くといっても必殺仕事人みたいな話ではない。
脅して金出させて特に殺すわけでもなく事件を解決に導くみたいな。
相手は大店の材木商だったり、異常性愛者の殿様だったり、
贋金づくりの一味だったり、果ては火付盗賊改方まで。
面白いのは仲間全員エロ全開のお葉に一切手を出さないところ。
なんか「Gメン75」みたい。ハードボイルド的でもある。
最後は賛否両論あるかな。
でもその乾いた雰囲気が好きという人もいるだろう。
著者は乱歩賞作家。受賞作「濡れた心」も性の話だったよねえ。
好みは別れるかもしれんが、人情ものに飽きた人にはおすすめの作品。