木枯し紋次郎の光文社時代小説文庫第3弾。
「六地蔵の影を斬る」「噂の木枯し紋次郎」
「木枯しの音に消えた」「雪燈籠に血が燃えた」の計4編を収録。
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紋次郎のトレードマークの一つである
左頬の傷跡と楊枝を加えている由来が語られる
「木枯しの音に消えた」が個人的にはベスト5に入る。
まだ紋次郎が二十歳前の頃、斬り合って手傷を負い
花田源左衛門という浪人の小屋に逃げ込みしばらく厄介になった。
左頬の傷跡はその時源左衛門が手当てしてくれた手傷の名残なのだ。
楊枝の由来は源左衛門の娘の影響だった。
二十日間ほど厄介になった日々の中で、源左衛門の娘の志乃が
父親が作った楊枝をさらに細く削り口に加えて笛のように使っていた。
それを紋次郎もまねたのだが、志乃のようなきれいな音は出なかった。
紋次郎が左頬の傷をかばって吹くことから響き方に違いが出ていたのだ。
その源左衛門親子を訪ねるのが「木枯しの音に消えた」。
ラストの叙情性はシリーズの中でも白眉の出来だと思う。
これがテレビシリーズ第12話の原作。
ゲストは十朱幸代、荒木一郎、戸浦六宏、左とん平など。観たい。
「六地蔵の影を斬る」はテレビシリーズ第7話の原作。
ゲストは佐藤充、北林早苗、蟹江敬三など。
「雪燈籠に血が燃えた」はテレビシリーズ第18話の原作。
ゲストは宇津宮雅代、長谷川明男など。