木枯し紋次郎の光文社時代小説文庫第2弾。
「女人講の闇を裂く」「一里塚に風を断つ」「川留めの水は濁った」
「大江戸の夜を走れ」「土煙に絵馬が舞う」の計5編を収録。
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紋次郎が渡世人となった事情が語られるのが
「女人講の闇を裂く」と「川留めの水は濁った」。
貧しい農家の6番目に生まれた紋次郎。
生まれた直後に間引きされかかるが、
姉のお光の機転によって命を救われる。
そのことを後から知った紋次郎は無口な少年に。
(そりゃそうだ)
そして嫁に行ったお光が病死したと知らせがあった翌日に
紋次郎は故郷を出奔するわけである。それが10歳の時。
これがテレビシリーズ第4話の原作。
ゲストは藤村志保、大出俊など。
お光の死の真相を知る「川留めの水は濁った」が第2弾のハイライトかな。
この作品がテレビドラマ第1話。1972年元旦放送だったのね。
ゲストが小川真由美、小池朝雄など。
新しい長脇差を手に入れる「一里塚に風を断つ」、
百姓の執念と哀しさが際立つ「土煙に絵馬が舞う」も好きな作品。
「一里塚に風を断つ」はテレビシリーズ第8話の原作。
ゲストは扇千景、土屋嘉男、二木てるみなど。
「大江戸の夜を走れ」はテレビシリーズ第6話の原作。
ゲストは安田道代、菅貫太郎、庄司永健など。
紋次郎のセリフといえば「あっしには関わりのねえことで」だが
実のところ初期はそこまで頻繁に出てくるセリフではない。
それどころか「土煙に絵馬が舞う」では
最後一人生き残った頭の足らない少女に
「ここにいてもしょうがねえだろう、一緒に来なさるかい」なんて言ったりもする。
これがテレビシリーズ第10話の原作。
ゲストは市川小太夫、常田富士男など。
連れてってどうすんのよって話なのだが、
そういう意味では紋次郎もまだ温かさが残ってるというか
物語の中で裏切られながらどんどん虚無的な感じになり
成長していったキャラクターなんだなと思う。